利用報告書

極微細加工材料中の放射線化学の研究
誉田明宏, 石原智志, 小林一雄
大阪大学産業科学研究所

課題番号 :S-16-OS-0026
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :極微細加工材料中の放射線化学の研究
Program Title (English) :Study on Radiation Chemistry in Material for Ultrafine Fabrication
利用者名(日本語) :誉田明宏, 石原智志, 小林一雄 
Username (English) :A. Konda, S. Ishihara, K. Kobayashi
所属名(日本語) :大阪大学産業科学研究所
Affiliation (English) :The Institute of Scientific and Industial Research, Osaka University

1.概要(Summary)
リソグラフィは半導体産業を支える微細加工技術である。現在、20 nmレベルの半導体デバイスの量産が行われており、露光源にはレーザーなどの光が用いられている。半導体の微細化が進むにつれて、露光源の短波長化が進んでおり、極端紫外光(EUV)や電子線(EB)といった電離放射線が次期露光源として有望視されている。次世代レジスト開発で解決すべき重要な課題は感度、解像度、レジストパターン揺らぎを示すLine Width Roughness (LWR)である。これらは互いにトレードオフの関係にあり、それぞれに対して厳しい要求が課せられている。このトレードオフ関係を克服するために、各レジストプロセスにおいてどのような現象が起きているかを明らかにすることは非常に重要である。とりわけ、レジスト薄膜の溶解過程の詳細は不明であり、レジスト薄膜の溶解機構を明らかにすることは次世代レジスト設計開発にとって不可欠である。本研究では、次世代リソグラフィに適応可能なレジスト設計指針を提案するために、放射線分解型高分子であるZEP520Aをモデルレジストとして用い、溶解過程を調べ、溶解速度と数平均分子量との関係を明らかにした。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
位相変調型分光エリプソメーター
【実験方法】
ポリマーとしてZEP520Aを使用した。ZEP520Aの溶解挙動を調べるために、QCM基板にスピンコートし、180 °Cで3分間プリベークをして100 nmのレジスト薄膜を形成した。その後、EUV露光装置 (Energetic, EQ-10M)で露光し、QCM現像解析装置(RDA-Qz)を用いて60秒間現像して溶解挙動を調べた。現像液にはZED-N50を用い、リンス液としてZMD-Bを用いた。現像後のレジスト薄膜を分光エリプソメトリーによって測定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig. 1はZEP520Aの溶解挙動を示す。未露光時に、レジストの膨潤が観察された。露光時は膨潤挙動が観察されず、溶解挙動のみが観察された。QCM測定から算出したPMMAの溶解速度と数平均分子量の関係をFig. 2に示す。溶解過程には2つの領域が存在することがわかった。まず未露光時(Mn:大)では、膨潤のみが観察される。溶解領域ではZEP520Aの分子量の減少に伴い、溶解速度が増加する。このように溶解速度は照射後のMnに依存することが明らかになった。

4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)誉田明宏,山本洋揮,吉武秀介,古澤孝弘, MNC2016, 2016年11月11日.
6.関連特許(Patent)
なし

©2025 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.