利用報告書

機能性材料の構造および電子物性評価
緒方啓典1)2), 井手 克2) (1) 法政大学生命科学部環境応用化学科, 2) 法政大学大学院理工学研究科)

課題番号 :S-20-MS-1027
利用形態 : 施設利用
利用課題名(日本語) :機能性材料の構造および電子物性評価
Program Title (English) :Structural and electronic property evaluation of functional materials
利用者名(日本語) :緒方啓典1)2), 井手 克2)
Username (English) :H. Ogata1)2), M. Ide2)
所属名(日本語) :1) 法政大学生命科学部環境応用化学科, 2) 法政大学大学院理工学研究科
Affiliation (English) :1) Department of Chemical Science and Technology, Hosei University
2) Graduate School of Science and Engineering, Hosei University

1.概要(Summary )
有機無機複合物質であるハロゲン化鉛ペロブスカイト化合物半導体は、薄膜形成に優れており、優れた集光能力と高いキャリア移動度を持つことから、現在太陽電池材料として現在大きな注目を集めている。同化合物は、ハロゲン化物イオンおよび有機カチオンの種類を変えることにより、安定性が変化することが報告されており、有機カチオンとハロゲン化物イオンの水素結合が安定性に大きく関与している可能性が示唆されている。本研究では、同化合物薄膜および単結晶において、有機カチオンの構造とハロゲン化物イオンの種類が水素結合の構造、分子振動および同化合物の各種環境下における安定性に与える影響について主に顕微ラマン散乱分光法により調べた。さらに、ハロゲン化鉛ペロブスカイト化合物薄膜の耐久性制御の可能性を探索することを目的として、全無機ハロゲン化鉛ペロブスカイト薄膜の暗時および光照射時の耐久性評価および可逆的構造相転移機構の制御の可能性について検討した。
また、木質系バイオマスであるリグニン木質系バイオマスであるリグニンから得られる分子を用いた電荷移動塩を合成し、その結晶構造および電子物性について調べた。

2.実験および結果(Experimental and Results)
本研究では,有機カチオンの種類を変えた有機無機ハイブリッドペロブスカイト化合物薄膜を合成し、顕微ラマン分光装置を用いてその欠陥構造評価およびそれらが、有機カチオンの分子ダイナミクスに与える影響についてを行い、その劣化機構について検証を行った。さらに、イオン照射を行った同薄膜中の分子運動性を顕微ラマン分光装置を用いてその評価を行った。また、木質系バイオマス由来の分子を用いた電荷移動塩単結晶試料を合成し、その低温における結晶構造を微小結晶用X線回折装置を用いて明らかにした。さらに、非対称性分子を用いて作成した同電荷移動塩の電子状態をESR分光装置および顕微ラマン分光装置を用いて行った。

3.その他・特記事項(Others)
本研究を行うにあたって,分子科学研究所機器センターの売市幹大様(顕微ラマン分光装置測定), 藤原基靖様,伊木志成子様(ESR測定)および岡野芳則様(微小結晶X線構造回折測定)には大変お世話になりました。心より感謝いたします。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 緒方 啓典, 梅田 龍介,2020年第81回応用物理学会秋季学術講演会, 令和2年9月11日.
(2) 井手 克, 大塚 裕一郎,中村 雅哉, 政井 英司, 緒方 啓典,分子科学会オンライン討論会, 令和2年9月15日.
(3) 緒方 啓典, 井手 克, 政井 英司, 大塚 祐一郎, 中村 雅哉,日本化学会第101春季年会(2021),令和3年3月20日.
(4) 井手 克, 大塚 裕一郎, 中村 雅哉, 政井 英司, 緒方 啓典,日本化学会第101春季年会(2021),令和3年3月21日.

6.関連特許(Patent)
なし。

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