利用報告書

機能性無機ハードおよびソフトマテリアルの創成
高瀬舞1), 馬渡康輝1)
1) 室蘭工業大学大学院工学研究科

課題番号 :S-18-CT-0083
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :機能性無機ハードおよびソフトマテリアルの創成
Program Title (English) :Development of functional hard and soft materials
利用者名(日本語) :高瀬舞1), 馬渡康輝1)
Username (English) :M. Takase1), Y. Mawatari1)
所属名(日本語) :1) 室蘭工業大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1) Muroran Institute of Technology

1.概要(Summary)
貴金属やその酸化物や硫化物などの半導体固体材料は、そのサイズや形状に応じて容易に物性を変化させる。この変化に光学特性等の外部摂動として利用可能な電子遷移などが伴う場合には、物質がもつ本来の機能が向上し、異なる機能を発現する。くわえて、当研究室では、比較的固い無機材料と有機金属化合物に代表されるような含金属元素のソフトマテリアルの複合、あるいは融合に着目して研究を行っている。本申請研究においては、これらの土台となるそれぞれの材料について、様々な観点から物性を評価し、これと機能との相関および因果関係について考察を行うための測定を実施した。

2.実験(Experimental)
有機分子とハイブリッドした貴金属微粒子の配列およびポリスチレンビーズ付近に析出させた粒子についてのラマン計測を行った。
無機化合物との新規ハイブリット化を目指した有機材料として選択したπ共役系高分子を合成した。サイズ排除クロマトグラフィー装置(SEC)により分子量を測定し、高分子主鎖の幾何構造解析のため、共鳴Ramanを測定した。

使用装置:
-レーザーラマン装置:RENISHAW inVia Raman Microscope、レーザー波長532nm(千歳科技大)

-サイズ排除クロマトグラフィー分析システム:島津 CLASS-VP、UV-vis検出器(SPD-10Avp)、RI検出器(RID-10A) (千歳科技大)

3.結果と考察(Results and Discussion)
貴金属微粒子とのハイブリッド化では、調整条件に伴って貴金属が一定の形状を有して析出していること、およびマスクとなるポリスチレンビーズも形状を保っていることが明らかとなった。
新たに合成したπ共役系高分子の数平均分子量は10万前後であり、ハイブリッドに十分な高分子量体が得られていることを確認した。また、特定の官能基を付与した場合は、同一の主鎖構造であってもクロロホルムやTHFに対して不溶になることがわかった。このような場合は、溶液NMRやSECによるポリマー生成の確認および構造解析が困難である。このため、可視光に吸収を持つπ共役系高分子の共鳴Raman測定が非常に有効であった。

4.その他・特記事項(Others)
Ramanスペクトルの測定に当っては、千歳科技大の河野敬一シニアアドバイザーの協力を得た。また、サイズ排除クロマトグラフィーの実施にあたっては、同大の大越教授と研究室の方々の協力を得た。ここに記して感謝する。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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