利用報告書

気孔形成に影響を与える化合物Bubblinの誘導体の合成
嶋田知生
京都大学大学院理学研究科

課題番号 :S-19-CT-0087
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :気孔形成に影響を与える化合物Bubblinの誘導体の合成
Program Title (English) :Chemical synthesis of bubblin derivatives that affect stomatal development
利用者名(日本語) :嶋田知生
Username (English) :T. Shimada
所属名(日本語) :京都大学大学院理学研究科
Affiliation (English) :Graduate School of Science, Kyoto University

1.概要(Summary )
私達の同定したBubblinは植物の気孔形成に影響を与える新規化合物であり、ピリジン環-チアゾール環-ブロモフェニル環からなる。モデル植物シロイヌナズナの芽生えにBubblinを処理すると、気孔幹細胞メリスメモイドに作用し、非対称分裂がかく乱され気孔のクラスター構造が誘導される。本利用課題では、Bubblinの作用機序を明らかとするため、ナノテクノロジー支援事業の共同研究により、Bubblin誘導体の合成とその解析を行った。

2.実験(Experimental)
今年度は、新たに合成した4-[(4-bromo-3-acetamidephenyl)-2-thiazolyl] pyridine (略称R32)など9種のBubblin誘導体を、シロイヌナズナ野生型系統Col-0株に処理し、気孔形成パターンを観察した。また、一部の誘導体はBubblinに非感受性である野生型系統Ga-2株に処理し、同様に観察を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
合成した9種のBubblin誘導体のうち、ピリジン環を修飾したR13やチアゾール環を修飾したR41,R42,R43はいずれも気孔のクラスター誘導能が大幅に低下した。一方、ブロモフェニル環を修飾した場合は、R32,33 のようにクラスター誘導能が大幅に低下するものと、R17,R50,R51のように弱いクラスター能が見られるものが存在した。以前の結果でも、ブロモ基を他のハロゲン元素に置換した誘導体は弱いながらもクラスター誘導能が見られており、このことからブロモフェニル環はクラスター誘導能に与える影響が小さいことが判明した。一方、ピリジン環とチアゾール環の修飾はクラスター能に大きく影響することから、Bubblinとそのターゲット因子の結合に重要であることが示唆された。

4.その他・特記事項(Others)
・参考文献
Y, Sakai et al., Development, 144(3):499-506 (2017)
・謝辞
本研究の遂行にあたりまして、公立千歳科学技術大学の今井敏郎客員教授、大越研人教授にBubblinを合成して頂きました。この場を借りて感謝の意を表します。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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