利用報告書
課題番号 :S-15-KU-0033
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :水プラズマによるグルコース水溶液の分解機構の解明
Program Title (English) :The elucidation of decomposition mechanism of D-glucose solution by water plasma
利用者名(日本語) :小関 悠太郎
Username (English) :Y. Ozeki
所属名(日本語) :九州大学工学部物質科学工学科
Affiliation (English) :Department of Chemical Engineering, Kyushu Univerisity.
1.概要(Summary )
本研究の目的は水プラズマを用いたバイオマスの分解反応機構の解明である.モデル物質として木質バイオマスの主成分であるセルロースを構成するグルコースを選定した.昨年度までの研究において,分解生成物中に未特定物質が存在することが分かっている.そこで本研究では.高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を用いて未特定物質の定性を行うことで,特定された物質から水プラズマ中のグルコースの分解機構について検討した.
2.実験(Experimental)
水プラズマを用いて,グルコースの分解処理を行い,生成気体,生成液体,生成固体を得た.分解機構の解明において,特に重要な役割を担う生成液体中の成分同定を,超高速HPLC分離・分子構造分析システムを用いて試みた.なお,液体クロマトグラフにおける分離性能を向上させるため,生成液体をDNPH誘導体化処理し,分析を行った.さらに,LC-MSにおいて同定された成分の定量分析をHPLCおよびTOCを用いて行った.
3.結果と考察(Results and Discussion)
LC-MSを用いた液体生成物の分析をFig. 1に示す.アルデヒド類(HCOH,CH3COH,(COH)2,CH3COCHO)が確認された.HPLCとTOCを用いて定量分析を行い,供給した原料中の炭素を基準とした分解生成物の炭素収支を算出した結果を,Fig. 2に液体成分中の炭素収支とアーク電流の関係として示す.未特定物質は昨年度の研究で45 mmol/L存在していたが,本研究においては平均6 mmol/Lであり,液体成分の解明が進んだといえる.
本研究においてアルデヒド類が中間生成物として新たに発見され,これをもとに数種類の反応機構を提案した.
Fig. 1 Analysis of the effluent liquid species by
LC-MS.
Fig. 2 Effect of arc current on carbon balance of the
effluent liquid.
4.その他・特記事項(Others)
装置の使用方法等においてご指導を下さった、「分子・物質合成プラットフォーム」テクニカルスタッフの廣渡和夫様に,感謝の意を申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 松尾剛志,プラズマ・核融合学会九州・沖縄・山口支部第19 回支部大会,平成27年12月19日.
6.関連特許(Patent)
なし。







