利用報告書

水プラズマによる有機物の分解実験
村上寛,Kim Soon-Ho,Duan Chengyuan,田中学,渡辺隆行
九州大学 工学研究院 化学工学部門

課題番号 :S-20-KU-0010
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :水プラズマによる有機物の分解実験
Program Title (English) :Decomposition of organic matter by water plasma.
利用者名(日本語) :村上寛,Kim Soon-Ho,Duan Chengyuan,田中学,渡辺隆行
Username (English) :H. Murakami, S. Kim, C. Duan, M, Tanaka, T. Watanabe
所属名(日本語) :九州大学 工学研究院 化学工学部門
Affiliation (English) :Department of Chemical Engineering, Kyushu University

1.概要(Summary )
水プラズマは水を原料とするプラズマである.その高活性,および高エンタルピーという特長から新たな廃棄物処理プロセスへの応用が期待されている.本研究では,水をミスト状にしてプラズマ化させる新規な発生手法を用いている.有機廃棄物のモデル物質としてPPCPs(Pharmaceutical and Personal Care Products)の一種であるDEET(N,Nジエチル-m-トルアミド)を選定し,本システムにおける分解メカニズムについて検討した.
2.実験(Experimental)
利用装置:島津製作所 nexeraX2、Bruker micrOTOF-QIII
本研究で使用した実験装置の概略図をFig, 1に示す.電極間に電圧を印加し,直流アークを発生,維持させることで水プラズマを安定的に発生させている.また,トーチ底部に超音波振動子を設置して原料をミスト化させ放電領域へ供給する.
原料DEET溶液の濃度は2000ppmとし,アーク電流値を6-9.5 Aへと変化させたときの生成物について検討した.プラズマが定常状態に達したのを確認したのち約10分後にそれぞれサンプルの採取をおこなった.
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig. 2は,アーク電流値を変化させたとき,分解後に生成された液体のESI-MS結果を示す.プラズマ分解後にDEETのピークは見られなかった.これによりプラズマによってDEETが完全に分解されたことがわかった.また,2つのピーク(m/z[M+H]+=128.9543,227.1255)が顕著に確認された.そのうち,小さな分子のピークはアーク電流値が増加するにつれて増加した.したがって,アーク電流値が増加するにつれて,DEETの分解はより進行したことが示唆された.

Fig. 1 Schematic diagram of water plasma system with mist generation.

Fig. 2 ESI-MS spestra of DEET and effluent liquid at different arc currents.

4.その他・特記事項(Others)
なし.

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 金淳活,田中学,李明勳,渡辺隆行,第38回プラズマプロセシング研究会, 令和3年1月28日

6.関連特許(Patent)
なし.

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