利用報告書
課題番号 :S-16-JI-0031
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :水処理用濾過膜の膜表面近傍における膜ファウリング原因物質の分布と制御
Program Title (English) :Distribution of foulants on surface of membrane for wastewater treatment
利用者名(日本語) :本多 了1)
Username (English) :Ryo Honda1)
所属名(日本語) :1) 金沢大学 理工研究域 環境デザイン学系
Affiliation (English) :1) Faculty of Environmental Design, Kanazawa University
1.概要(Summary )
膜分離活性汚泥法による廃水処理において,濾過膜の目詰まり軽減がプロセスの重要な制御となる。主要な膜目詰まり物質として,多糖やたんぱく質などのバイオポリマーが報告されているが,それらの目詰まり物質が濾過膜内でどのように分布し,また,それらを産生する微生物が膜面にどのように分布しているかは明らかになっていない。それらのバイオポリマーのうち,どのような成分がどこに詰まっているかを把握することにより,より効果的な膜洗浄やプロセス制御を提案できる可能性がある。本課題では,透過型電子顕微鏡による濾過膜観察により,濾過膜内のバイオポリマー成分の分布を明らかにすることを目的とした。
2.実験(Experimental)
膜分離活性汚泥法において,精密濾過膜の目詰まり物質の分布および元素組成を明らかにするため,透過型電子顕微鏡・TEM(日立ハイテクノロジーズ社製 H-7650)を用いて観察を行った。
未使用膜,目詰まり後の膜,目詰まりした膜を物理洗浄したもの,目詰まりした膜を化学洗浄したものの4サンプルを樹脂包埋して薄片を作製した。濾過膜の表面付近を中心に断面観察を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
未使用膜を用いてエポキシ樹脂包埋による試験片作製を試行した結果,試験片は膜内の構造を保持しており観察に適した試験片の作製が可能なことが分かった。一方, 樹脂成分の一部が膜の構成物質に親和的に吸着している可能性も示唆された。
目詰まり後の膜,物理洗浄後の膜,化学洗浄後の膜をそれぞれ観察したところ,膜内には目立った粒子は観察されなかった。特に,化学洗浄後の膜は未使用膜とほとんど変わらない観察結果となり,目詰まり物質は化学洗浄によるほぼ除去されていることが分かった。
EDXによる元素分析を行った結果, 目詰まり後の膜,物理洗浄後の膜,化学洗浄後の膜のいずれも,未使用膜の元素組成と大きくな違いは見られなかった。
今後, 濾過膜の洗浄を,より実処理施設に近い条件で行ったものについて,同様の観察を行う計画である。
図1 膜表面堆積物のTEM写真とEDX結果
4.その他・特記事項(Others)
本課題は,科研費 若手研究(A)の支援を受けて実施した。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







