利用報告書
課題番号 :S-19-NU-0047
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :液晶性有機半導体薄膜の配向構造解析
Program Title (English) :Orientational structure in liquid crystalline organic semiconductor thin films
利用者名(日本語) :藤井 彰彦
Username (English) :A. Fujii
所属名(日本語) :大阪大学 大学院工学研究科
Affiliation (English) :Graduate School of Engineering, Osaka University
1.概要(Summary )
バーコート法によって作製したtert-ブチル基を導入したフタロシアニン(t-BuPcH2)薄膜の分子配向異方性を斜入射X線散乱(GI-XRS)によって評価した。
2.実験(Experimental)
t-BuPcH2の1,4-ジオキサン飽和溶液を調製し、バーコート法により薄膜を調整した。バーコード掃引速度を33μm/s、基板温度を60 °Cとした。バーコード掃引方向と平行および垂直方向にX線を入射し、GI-XRS測定を行った。
使用装置:光学アタッチメント・カスタマイズXRD装置(Rigaku製 FR-E)
3.結果と考察(Results and Discussion)
予め、作製したt-BuPcH2薄膜の偏光顕微鏡観察および偏光吸収スペクトルから、高い光学異方性を有することを確認した。Figure 1にバーコード掃引方向に平行(1a)および垂直方向(1b)に入射したGI-XRS測定の二次元プロファイルを示す。掃引方向に平行に入射した場合、t-BuPcH2のヘキサゴナルカラムナー構造に起因する散乱ピークが、面外方向および約60°方向に観察された(Figure 1a)。また、掃引方向に垂直に入射した場合、カラムナー構造に由来するピークは、面外方向のみに観察された(Figure 1b)。さらに、広角領域の2θ = 26.7°(d = 0.33 nm)にフタロシアニン面間に由来するピークが観察された(Figure 1b矢印)。以上の結果から、バーコート法にて作製したt-BuPcH2薄膜は、バーコード掃引方向に平行にカラムナー構造が高度に配向した構造を有することが明らかとなった。
Figure 1. 2D GI-XRS images of bar-coated t-BuPcH2 films with X-ray beam incidence parallel (a) and perpendicular (b) to the bar sweep direction.
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) G. Uzurano, Y. Yabuuchi, R. Ishiura, M. Yoneya, S. Nagano, A. Fujii, M. Ozaki, Jpn. J. Appl. Phys., 59, SDDA05M.
(2) Y. Yabuuchi, G. Uzurano, R. Ishiura, M. Nakatani, S. Nagano, A. Fujii, M. Ozaki, Jpn. J. Appl. Phys., 59, SDDA04M.
6.関連特許(Patent)
なし