利用報告書

液相合成法を用いたダイヤモンド様炭素系膜の作製
橋本雄一
大同大学 工学部 電気電子工学科

課題番号                :S-20-NU-0012

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :液相合成法を用いたダイヤモンド様炭素系膜の作製

Program Title (English) :Deposition of diamond-like carbon film by chemical solution process

利用者名(日本語)      :橋本雄一

Username (English)     :Y. Hashimoto

所属名(日本語)        :大同大学 工学部 電気電子工学科

Affiliation (English)  :Department of Electrical and Electronic Engineering , Daido University

 

 

1.概要(Summary )

近年、ダイヤモンドとグラファイトの骨格構造を有するダイヤモンド様炭素膜(DLC:Diamond-Like Carbon)膜は、高硬度・低摩擦係数・高耐摩耗性・高生体親和性・高ガスバリア性などの性質を持つため、工具やPETボトルの内壁膜、自動車部品のほか、シリコンに替る新しい半導体用基板や電子放出材料として注目されている。

本研究では、これまで殆ど検討がなされていない新たなDLC製膜法の試みとして、主としてメタノール(MeOH)を用いた液相合成法(電気分解法)によりDLC膜の作製実験を行い、得られた膜についてラマンスペクトルを評価した。

 

2.実験(Experimental)

・利用した主な装置:レーザーラマン分光光度計(JASCO社製NRS-1000)

図1にDLC作製のための装置図を示す。陽極は炭素板を、陰極として2種類の基板(Cu,p-Si)を用いた。   Cu基板は、金属磨き剤(DP-Paste)で研磨した後、エタノール,純水の順番で、15分間超音波洗浄を行った。 またp-Si基板は、5%フッ酸水溶液で酸化膜を除去した。

その後、これらの基板を大気中で誘電体バリア放電処理を10分間行った。上記各電極をMeOHとアンモニア水の混合溶媒中に電極間距離2.7 mmで固定し、溶媒温度23℃、印加電圧10~20 V、製膜時間8時間で各基板上に薄膜を堆積させた。得られた薄膜は、ラマン分光光度計(レーザー波長532 nm,レーザー出力10 mW)を用いて評価した。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

光学顕微鏡による観察ではCu基板上に殆ど堆積物が認められず、ラマンスペクトルも観測されなかった。

一方、Si基板上では数十μmの粒子状物質が認められ、1600 cm-1近傍に非晶質炭素に由来するブロードなピーク(G-band)と1400 cm-1近傍にダイヤモンド構造に由来するブロードなピーク(D-band)が観測された。

今後は、均一な膜を得るための条件等について、基板の表面処理を中心に検討を行う予定である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図1 DLC作製の装置図

 

4.その他・特記事項(Others)

ラマンスペクトルは、名古屋大学の西村真弓氏に測定頂いた。

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし。

 

6.関連特許(Patent)

なし。

 

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