利用報告書

温度応答性ポリマー/カーボン複合ゲル材料の作製と評価
高田知哉(公立千歳科学技術大学理工学部)

課題番号 :S-20-CT-0053
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :温度応答性ポリマー/カーボン複合ゲル材料の作製と評価
Program Title (English) :Preparation and characterization of thermoresponsive polymer/carbon
composite gels
利用者名(日本語) :高田知哉
Username (English) :T. Takada
所属名(日本語) :公立千歳科学技術大学理工学部
Affiliation (English) :Faculty of Science and Technology, Chitose Institute of Science and
Technology

1.概要(Summary )
 温度応答性ポリマーゲルは、温度変化によって薬剤を徐放するためのドラッグデリバリー材料として積極的に研究されている。この温度変化を、生体透過性の高い赤外線の照射により誘起することができれば、新規なドラッグデリバリーシステムの開発に役立つものと期待される。本課題では、ポリアリルアミンの側鎖ウレイド化により得られるポリマーと、赤外線応答性を有するナノカーボンを複合化したゲルを作製することを試みた。

2.実験(Experimental)
使用装置:核磁気共鳴測定装置(NMR)
 ポリアリルアミンのウレイド化は、ポリアリルアミンの水溶液にシアン酸カリウムを所定量添加し加熱することで行った。加熱後の水溶液の透析操作を行なったのち、グルタルアルデヒド水溶液を添加しゲル化させた。ゲル化前のポリマーでの側鎖修飾の有無を確認するために、水溶液を乾固させて得た固体ポリマーのNMRスペクトルを測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 シアン酸カリウム添加・加熱の前後でのポリマーのNMRスペクトルをそれぞれ図1、2に示す。既報によれば、シアン酸カリウムとの反応によって側鎖アミノ基がウレイド基に変換できるとの報告があるが、本課題での測定ではウレイド化が確認できなかった。反応時の水溶液の酸・塩基性などの条件に問題があると考えられ、今後の検討を要する。目的としていたカーボン複合ゲルの作製も達成できていないが、グルタルア
ルデヒド添加によるゲル化は行えているので、ウレイド化ポリマーにカーボンを添加したゲルの作製も可能であると考えている。

図1.ポリアリルアミンのNMRスペクトル.

図2.シアン酸カリウム添加・加熱後のポリマーのNMRスペクトル.

4.その他・特記事項(Others)
NMRスペクトルの測定を行っていただき、データ解釈に関する御助言をいただいた公立千歳科学技術大学ナノテク支援室の河野敬一氏および今井敏郎氏に感謝申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

©2024 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.