利用報告書
課題番号 :S-16-NM-0051
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :炎症性疾患治療に向けたアポトーシス細胞膜模倣型リン脂質ポリマーの合成と評価
Program Title (English) :Synthesis and Characterization of Apoptotic Cell Membrane Inspired
Phospholipid Polymers for Immunotherapy.
利用者名(日本語) :中川 泰宏
Username (English) :Nakagawa Yasuhiro
所属名(日本語) :筑波大学大学院 数理物質科学研究科 物質・材料工学専攻
Affiliation (English) :Graduate School of Pure and Applied Sciences, University of Tsukuba
1.概要(Summary)
細胞はアポトーシスを起こすと、細胞膜に内在するホスファチジルセリン(PtdSer)というリン脂質を細胞外部へ露出し、免疫 細胞に速やかに貪食、処理されることが知られている。従来、ホスファチジルセリンを認識した免疫細胞はアポ トーシ ス細胞を貪食するのみであるとされてきたが、ホスファチジルセリンを認識した免疫細胞がサイトカイン 産生パターンを変更し、周囲の炎症的な環境を抑制することが近年明らかとなってきた。そこで本研究では、アポトーシス細胞の特異的な膜表面構造を模倣した抗炎症活性を有する材料の創出を目的として、ホスファチジルセリンの機能性部位であるホスホリルセリン基(PS 基)を有する高分子材料の作製を試みた。in vitroによる試験の結果、マクロファージに対する投与濃度依存的な抗炎症活性を確認した。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
共焦点レーザー顕微鏡 (ライカマイクロシステムズ)
【実験方法】
アポトーシス細胞模倣高分子(poly-MPS) にTRITC rhodamineを修飾し、Rhodamine-poly-MPSを作製した。 35mmガラスベースディッシュ上にてRAW264.7を培養し、播種24時間後にRhodamine-poly-MPSを15mg/mLの濃度となるように添加した。24時間後にparaformaldehydeにて細胞を固定し、Hoechstを用いて核を染色した。 その後、共焦点レーザー顕微鏡 (ライカマイクロシステムズ)を用いて共焦点像を観察した。
3.結果と考察 (Results and Discussion)
得られた共焦点像をFig.1 に示す。Rhodamine-poly-MPSをRAW264.7に添加した場合に何らかの相互作用があることが専攻実験によって明らかになっていた。本観察ではRhodamine-poly-MPSがRAW264.7において胞膜上と細胞質のどちらに局在しているかを明らかとすることが目的であり、Fig. 1 より細胞質内に分散するようにRhodamine-poly-MPSが存在するということが明らかとなった。
本観察において、技術相談・装置の使用トレーニング・装置使用の際の実際の操作の際の補助を実施して頂きました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) ○中川泰宏・齋藤充弘・青柳隆夫・荏原充宏、アポトーシス細胞を模倣したリン脂質系高分子の抗炎症能評価、つくば医工連携フォーラム2017、pp. 80、2017・3
(2) ○Yasuhiro Nakagawa, Atsuhiro Saitou, Mitsuhiro Ebara, Investigation of Anti-inflammatory Effect of Apoptotic Cell Membrane Mimetic Nanomaterials, MANA International symposium 2017, pp. 158, 2017・3
6.関連特許(Patent)
なし







