利用報告書
課題番号 :S-19-MS-0035
利用形態 :協力研究(ナノプラット)
利用課題名(日本語) :環境半導体マグネシウムシリサイド単結晶表面の電子構造と格子構造
Program Title (English) :Lattice and electronic structures of magnesium silicide crystals surface
利用者名(日本語) :北浦 守1)
Username (English) :M. Kitaura1)
所属名(日本語) :1) 山形大学理学部
Affiliation (English) :1) Faculty of Science, Yamagata University
1.概要(Summary )
マグネシウムシリサイド(Mg2Si)は約0.6eVの禁制帯幅を有する間接遷移型半導体であり、光電子デバイスや熱電素子として実用化が検討されている。申請代表者はこれまでに、n型のMg2Si結晶において表面準位が関わる現象である表面バンドベンディングや表面光起電力効果を見出してきた。これらの現象は表面準位とバルク結晶の電子状態の違いを反映するので、その全容を解明するには表面準位の本質を理解する必要がある。この申請課題では,n型Mg2Si結晶の表面構造を低速電子線回折(LEED)によって調べた。その表面電子構造もまた角度分解光電子分光(ARPES)によって調べた。
2.実験(Experimental)
Mg2Si結晶はブリッジマン法によって育成した。電子ドープするために、結晶にはアルミニウムを微量添加した。LEEDとARPESの測定の直前には、結晶を超高真空中において破断して清浄表面を得た。
LEEDとARPESの測定には、分子科学研究所機器センター所管の機能性材料バンド構造顕微分析システムを利用した。6Kから300Kの温度範囲で測定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
6Kで測定したn型Mg2Si結晶表面のLEEDパターンを図1に示す。測定の時の電子線のエネルギー172.9eVであった。LEEDパターンには六角形のスポットが観測される。これは、破断面が(111)面の1×1構造であることを示す。測定した温度範囲ではLEEDパターンに大きな変化は見られず、再構成表面が生じないと考えられる。このことから、n型Mg2Si結晶で観測されたバンドベンディングや光起電力効果は再構成表面等の構造因子に起因しないと考えられる。一方、6Kで測定したARPESスペクトルにはバンド分散がはっきりと見られたが、時間とともに消失した。バンド分散の消失はおそらく表面の変質が関わると思われるが、その詳細は現時点において不明である。バンド分散消失後でも図1に示したLEEDパターンは観測できたので、表面から数原子層内部の表面電子状態が表面バンドベンディングや表面光起電力効果に関与すると思われる。
図1: n型Mg2Si結晶表面のLEEDパターン。測定温度は6Kであった。
4.その他・特記事項(Others)
本研究に用いた結晶はすべて茨城大学大学院工学研究科の鵜殿教授からご提供いただきました。ご厚意に感謝申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







