利用報告書

界面活性剤の吸着状態の解明
岡村諭
花王株式会社

課題番号 :S-16-OS-0040
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :界面活性剤の吸着状態の解明
Program Title (English) :Elucidation of surfactant adsorbent
利用者名(日本語) :岡村諭
Username (English) :S. Okamura
所属名(日本語) :花王株式会社
Affiliation (English) :Kao, Co., Ltd.

1.概要(Summary)
疎水性基板に吸着した界面活性剤の水溶液中の吸着状態を、原子間力顕微鏡を用いて観察を行った。今回の測定結果では、明確な像を得ることが出来ず、何かを結論づけることはできなかったが、親水基の異なる界面活性剤種間で、吸着構造が違う可能性が示唆されている。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
環境制御型走査型プローブ顕微鏡システム
(日立ハイテクサイエンス: SPI3800N/SPA300HV)
【実験方法】
日立ハイテクサイエンス: SPA300HVに水中DFMアタッチメントをつけて測定を行った。疎水性基板はHOPGを用いて、測定ごとにセロハンテープで新規の表面を露出させた。このHOPGに対して、目的濃度に調製した界面活性剤溶液を接触させてDFMモードで観察を行った。界面活性剤は事前に精製を行い、できる限り不純物を取り除いた。目的濃度に調製後に水溶液をメンブレンフィルターに通して観察に用いた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
臨界ミセル濃度以上の界面活性剤水溶液2種に対して測定を行った。(界面活性剤A、界面活性剤Bとする。)形状像をFigure 1に示した。

Figure 1. AFM image (Tomography). a) surfactant A, b) surfactant B.
今回は明確な構造体を観察することはできなかった。しかしながら、Figure 1 a)ではカンチレバーの操作方向とは異なる斜めの線が確認できた。画像解析から約100 nmの幅を持って観察範囲全体に存在することがわかった。今回得られた画像は粗く、観察結果を鵜呑みにすることはできないが、界面活性剤AとBの作る吸着構造に違いがある可能性されたと考えている。
今後、走査速度などの測定パラメータを最適化することで明確な像を得られる可能性があると考えている。

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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