利用報告書
課題番号 :S-18-CT-0113
利用形態 :技術補助
利用課題名(日本語) :異なる表面処理を施した3種類の蛍光ナノダイヤの物性評価
Program Title (English) :Optical characterization of surface-oxidized nanodiamonds
利用者名(日本語) :西村勇姿, 藤原正澄
Username (English) :Y. Nishimura, M. Fujiwara
所属名(日本語) :大阪市立大学大学院理学研究科
Affiliation (English) :Osaka City University
1.概要(Summary )
ダイヤモンド中の不純物の1つであるダイヤモンド窒素空孔(NV)中心は安定した発光を示す結晶欠陥であり,ナノスケールの局所環境において磁界,電界,温度,歪などを測定することができる孤立電子スピンが局在する.それらの計測には,電子スピンのコヒーレンス時間が重要であり,表面酸化によるコヒーレンス時間の長寿命化がバルク中のNV中心に対して研究されている.今回我々は,複数の手法で表面を酸化させて,NV中心のスピン特性を評価するために,ラマン分光法によって表面酸化状態の分析を行った.
2.実験(Experimental)
市販のType Ib HPHTのナノダイヤモンド試料(Microdiamant社,MSY0-0/050,Median: 0.025 μm)に酸による化学処理,もしくは,空気中550℃での熱処理を行った.表面処理を行わなかったもの(As Received),酸による化学処理を6 h行ったもの(Acid 6 h),空気中550℃での熱処理をそれぞれ1,2 h行ったもの(Air Oxidized 1 h, 2 h)の計4種類のナノダイヤモンド試料を準備した.これらをシリコン基板上に置き,乾燥させた.この試料を千歳科学技術大学のラマン分光装置(inVia 共焦点ラマンマイクロスコープ,レニショー)によって観察した.励起光の波長は325 nmを用いた.1600 cm-1付近にあらわれるグラファイトのピークを観察した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
それぞれのラマン散乱スペクトルを図1に示した.1が未処理,2a,2bは濃硝酸+濃硫酸+過塩素酸の混合酸によりそれぞれ6,24時間処理された試料,3a,3b,3cは450℃ 2時間,550℃ 1時間,550℃ 2時間処理された試料である.空気熱酸化の場合,1600 cm-1付近のピークが減っていることから,表面のグラファイト層が消失したことが分かった.さらに,熱酸化する時間が長いほど表面酸化が進むことが確認された.一方で,化学処理による酸化では空気熱酸化ほどの大きな変化は確認されなかった.
Fig. 1: Raman spectra of the nanodiamonds
4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は,科学研究費補助金(26706007,17H02741),文科省卓越研究員事業,および,2017年度大阪市立大学戦略的研究経費(若手研究・重点研究)による支援を受けて行われた.また,共用に供されている全国で唯一のUV光源を装備したラマン装置利用のため技術支援をしてくださった千歳科学技術大学の河野敬一シニアアドバイザーに深く御礼申し上げます.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
第66回応用物理学会春季学術講演会,藤原正澄,塚原隆太,世良佳彦,西村勇姿,須貝祐子,Jentgens Christian,手木芳男,鹿田真一,橋本秀樹,“ナノダイヤモンドNV中心のスピン特性と表面酸化”(講演番号11p-M113-8,口頭発表,発表日:平成31年3月11日)
6.関連特許(Patent) なし







