利用報告書

真空アニールによるNdF3薄膜真空紫外センサの暗電流値制御
堀内 勇佑,加藤 誠也,加藤 智規,小野晋吾1)
名古屋工業大学

課題番号                :S-20-NI-0005

利用形態                :機器利用

利用課題名(日本語)    :真空アニールによるNdF3薄膜真空紫外センサの暗電流値制御

Program Title (English) :Controlling dark current of NdF3 thin films by vacuum annealing for the high sensitivity vacuum ultraviolet sensors

利用者名(日本語)      :堀内 勇佑,加藤 誠也,加藤 智規,小野晋吾1)

Username (English)     :Yusuke Horiuchi, Seiya Kato, Tomoki Kato, Masahiko Kase, Shingo Ono

所属名(日本語)        :名古屋工業大学

Affiliation (English)  :Nagoya Institute of Technology

 

 

1.概要(Summary )

真空紫外光源は、材料の表面改質や半導体基板の洗浄など幅広い分野で応用されている。これに伴い、真空紫外光を安定利用するための検出器が必要とされている。そこで我々はワイドギャップ材料であるフッ化物材料に着目し検出器の開発を行ってきた。光伝導型検出器はワイドギャップ材料を利用することで、真空紫外光を選択的に検出する光検出器開発が可能になる。本研究ではNdF3に着目し、パルスレーザー堆積法により作成したNdF3薄膜に真空アニール処理をすることで、結晶度及びそれに伴うキャリア密度の制御を行い、検出器の暗電流値の減少からセンサ感度向上を目指した。

2.実験(Experimental)

成膜はナノ秒パルスレーザー(波長:266 nm、パルス幅:5 ns、繰り返し周波数:10 Hz)をNdF3焼結体に真空中で照射し、SiO2基板上に薄膜を堆積させた。薄膜作成後に4分割し、温度as-grown,200℃,400℃,600℃でそれぞれ3時間アニールを行った。さらに薄膜上に真空蒸着法を用いて櫛形のアルミニウム電極を蒸着させた。また、同様にして時間as-grown,0.5h,3h,8hで600℃のアニールを行ったものを作成した。

3.結果と考察(Results and Discussion)

図1にアニール温度ごとの試料のX線回折パターンを示す。アニール温度が高いほど、NdF3(110)ピークの半値幅が減少しており、結晶度が改善されたことがわかる。図2にアニール温度を変えた時の暗電流値を示す。アニール温度が高いほど、暗電流値が減少しているため、結晶度の改善によりキャリア密度が減少し、暗電流値が低減したと考えられる。光電流値には大きな変化が見られなかったため、アニールによりセンサ感度を向上させることに成功した。

Fig.1 X-ray diffraction patterns of NdF3 thin films

Fig.2 Annealing temperature dependence of dark

4.その他・特記事項(Others)

なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

(1) Marilou Cadatal-Raduban, Seiya Kato, Xi Yu, Shingo Ono, The 9th Global Conference on Materials Science and Engineering, November 20, 2020.

(2) 堀内勇佑, 加藤誠也, 加藤智規, 加瀬征彦, 小野晋吾, 第81回応用物理学会秋季学術講演会, 2020年9月9日.

6.関連特許(Patent)

なし。

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