利用報告書
課題番号 :S-18-MS-1071
利用形態 :施設利用(機器センター)
利用課題名(日本語) :石炭フライアッシュ含有成分の可視分析による有害成分不溶化メカニズムの解明
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :関亜美1)
Username (English) :T. Seki1)
所属名(日本語) :1) 東北大学大学院環境科学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Environmental Stadies, Tohoku University
1.概要(Summary )
石炭火力発電所より発生する石炭フライアッシュは、SiO2やAl2O3等を構成主要成分として含有しているほかに、環境有害物質であるAsやSeを微量に含有している。フライアッシュ発生後の処理において、フライアッシュが雨などの大量の水に晒された際、これらの有害成分の一部が容易に溶出することによる環境問題の誘発が懸念されている。この問題解決に向け、我々は少量の水添加によるエージング処理を行う有害元素の不溶化を試みているが、エージング処理は未だ完全な無害化を達成していない。この不溶化メカニズムを解明することで、より効果的で安価な処理法の提案を目的として、フライアッシュの表面観察および元素マッピングによる形態変化を調査した。
2.実験(Experimental)
分子科学研究所の機器センターが所有する低真空分析走査電子顕微鏡(SEM)/Hitachi SU6600を用いて、処理前後のフライアッシュ粒子を観察し、粒子表面形状の特徴や処理による変化の情報を取得した。得られたSEM像から、EDX(BRUKER社)を用いて元素マッピングをすることで、粒子表面の組成分析および存在している鉱物の特定に努めた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
解像度が高いHitachi SU6600を用いたフライアッシュの表面観察によって、エージング処理前後の表面形態の変化が明らかとなった(図1)。EDXによる元素マッピングは高真空下のみでしか行うことができず、粒子がチャージしてしまい分析が困難だったため元素情報の入手には課題が残ったが、一部実施した元素マッピングの結果より、エージング処理を行うことで粒子表面に形成されている結晶状の物質はAlやS, Caが局在している特徴が得られた(図2)。
図1.エージング処理による粒子表面の変化
左:処理前、右:処理後
図2. 元素マッピング像
4.その他・特記事項(Others)
本研究は、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム2018年機器センター施設利用前期(分子科学研究所)の支援を受けて実施されました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。