利用報告書

磁気及び光学薄膜の成膜プロセス開発
西川 和宏, 中川 小百合, 佐齋 一宏
日本電産株式会社 生産技術研究所

課題番号(Application Number):S-16-NR-0008
利用形態(Type of Service):技術代行
利用課題名(日本語) :磁気及び光学薄膜の成膜プロセス開発
Program Title (English) :Development of deposition process of magnetic and optical thin films
利用者名(日本語) :西川 和宏, 中川 小百合, 佐齋 一宏
Username (English) :N. Kazuhiro1), N. Sayuri2), S. Kazuhiro3)
所属名(日本語) :日本電産株式会社 生産技術研究所
Affiliation (English) :Nidec Corporation, Nidec Center for Industrial Science

1.概要(Summary )
①磁気薄膜の評価として、成膜条件や膜構成、使用材料を変えた試料に対しAFMとSTEMを用いた分析を実施した。AFMでは試料表面の鳥瞰図や表面粗さ情報を取得し、成膜条件と結晶性との関連性を把握することができた。また、STEMでは最大2000K倍の観察と元素マッピングにより数ナノメートルの膜同士で組成の拡散(層間の固溶)が確認できた。これらの情報は社内の特性データと合わせて比較することで評価の判定や問題解決に貢献した。
②光学薄膜の評価として、薄膜材料を変更した場合の表面状態についてAFMを用いて分析し、表面の粗さと防汚特性の関係性を把握することができた。
2.実験(Experimental)
【利用装置】
・原子力間顕微鏡AFM
(SPA400,SPI-3800N;日立ハイテクサイエンス社)
・走査透過電子顕微鏡STEM
(HD-2700;日立ハイテクノロジーズ社)
【実験方法】
①膜構造や成膜条件が異なる数種類の磁気薄膜をSiウエハ上へ成膜し、あらかじめ小片化処理したものについてAFMによる表面観察及び表面粗さ測定、STEMによる断面観察及び元素分析を実施した。
②材料が異なる数種類の防汚コーティング液を15mm角のガラス板に成膜したものについてAFMによる表面観察及び表面粗さ測定を実施した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
①磁気薄膜の評価
試料表面のAFM像(図1)により、膜構造と各成膜条件における結晶形状の変化や大きさの差が把握できた。
STEMでは積層構造の断面に対する最大200万倍(ドリフト補正込み)の観察と元素マッピング(図2)により層間に元素の拡散が確認された。別途評価した磁気特性(磁気抵抗変化率)での劣化と符合することから、特定の材料、成膜条件によって磁気特性が低下することが推測されている。これらの結果が積層構造の変更を判断する材料となっている。

図1  磁気薄膜のAFM像(一例)

図2  磁気薄膜の断面STEM像と元素マッピング
②光学薄膜の評価
試料の表面粗さデータより、各コーティング液の平滑性が把握でき、別途取得した防汚特性との比較が可能となった。

図3 光学薄膜のAFM像(一例)
4.その他・特記事項(Others)
本実験はNAIST研究・国際部 研究協力課物質創成科学技術区 技術専門職員 宮家 和宏様よりご支援を頂いた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。

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