利用報告書

積層セラミックコンデンサの絶縁劣化メカニズムの解明と製品開発への応用
鈴木哲男(エバープラスマテリアル株式会社)

課題番号 :S-20-CT-0029
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :積層セラミックコンデンサの絶縁劣化メカニズムの解明と製品開発への応用
Program Title (English) :Mechanism investigation of IR degradation and its application to product development for multilayer ceramic capacitor
利用者名(日本語) :鈴木 哲男1)
Username (English) :Tetsuo Suzuki1)
所属名(日本語) :1) エバープラスマテリアル株式会社
Affiliation (English) :1) Everplus Material Co., Ltd.

1.概要(Summary)
弊社では、積層セラミックコンデンサの製品開発事業を行っている。開発製品には、所望の電気特性と高信頼性が要求され、高信頼性には絶縁劣化の抑制が不可欠となる。材料として用いる添加物の分散性と絶縁劣化の間には関係があり、添加物の分散性を向上させると絶縁劣化の抑制効果が得られることが過去の検討から判明している。今回、ある新製品の開発において、更なる信頼性向上を目的としてチタン酸バリウムに添加物Aをコーティングし分散性向上を試みた。信頼性評価の結果、絶縁劣化の抑制が確認された。メカニズムの考察にあたり、公立千歳科学技術大学保有のFE-SEMを用いて元素マッピングを実施し、現行品との分散性比較を行った。

2.実験(Experimental)
チタン酸バリウムと添加物A,Bを用いてサンプルを2種類作製した。サンプル1はチタン酸バリウムと添加物A,Bを混合したもの、サンプル2は添加物Aをコーティングしたチタン酸バリウムと添加物Bを混合したものである。
次にサンプル1、2をそれぞれ有機溶媒中でバインダーと混合し、所定の厚みのグリーンシートを作製した。このグリーンシートに対し、公立千歳科学技術大学保有のFE-SEM(日本電子製 JSM-7800F)に装備されているEDSを用いてグリーンシートの元素マッピングを実施し、添加物の分散性比較を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
FE-SEMによる元素マッピングの結果を図1に示す。

図1 サンプル1、2の元素マッピング
添加物Aはサンプル間で偏析状態に大きな差が見られなかったが、添加物Bはサンプル2において偏析が見られず、分散性が良好であった。添加物Aの分散性向上を期待したにも関わらず、添加物Bの分散性が向上する結果となった。分散性が向上したメカニズムは不明だが、添加物Bの分散性向上が絶縁劣化の抑制に寄与していると思われる。
一方で、目的である添加物Aの分散性が改善できなかった。これが改善できれば、より高い絶縁劣化抑制効果が得られる可能性がある。継続して検討を進めたい。

4.その他・特記事項(Others)
なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

©2024 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.