利用報告書

窒化処理したSmFe薄膜のメスバウアー分光測定
楠森毅1), 藤田麻哉1), 壬生攻2)
1) 産業技術総合研究所 中部センター, 2) 名古屋工業大学

課題番号 :S-15-NI-36
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :窒化処理したSmFe薄膜のメスバウアー分光測定
Program Title (English) :Mössbauer spectroscopic study on nitrogenation of SmFe films
利用者名(日本語) :楠森毅1), 藤田麻哉1), 壬生攻2)
Username (English) :T. Kusumori1), A. Fujita1), K. Mibu2)
所属名(日本語) :1) 産業技術総合研究所 中部センター, 2) 名古屋工業大学
Affiliation (English) :1) National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Chubu,
2) Nagoya Institute of Technology

1.概要(Summary )
 昨今における社会情勢から重希土類を用いないNdFeBに替わる新規な磁石材料が求められている。その候補の1つとしてSmFeN系材料に注目が集まっている。我々はスパッタ法により、サファイア基板に形成したTaバッファー層の上にSmFeNの単結晶薄膜を作製することに成功した。さらにそのトルク測定から結晶磁気異方性などの情報を得ることが出来るようになった。しかし、その微視的な磁気構造については不明な点が多い。そこで磁気異方性と結晶内部磁場との関係を明らかにするためにメスバウアー分光測定を行った。

2.実験(Experimental)
 SmFe薄膜試料はRFマグネトロンスパッタ法によってサファイア基板上に作製した。その後、試料表面にRFアトムソースで生成した窒素ラジカルを照射することにより窒化処理を行った。57Feメスバウアー分光測定は、室温にて内部転換電子メスバウアー分光(CEMS)装置を用いて行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 図1に、(a)窒化処理する前のSmFe7薄膜と、(b)窒化処理した後のSmFe7N1.3薄膜のメスバウアースペクトルを示す。ピーク強度比等からSmFe7の容易磁化方向がc軸に平行であるのに対して、窒化後は磁気モーメントが増大し、容易磁化方向もc軸に垂直(c面内方向)に変化する事がわかった。また、最小自乗法によるスペクトル解析の結果、Feサイトの微視的な構造の違いにより、Sm2Fe17Nxとは異なる磁気特性を有することが明らかとなった。

図1 SmFe(N)薄膜のメスバウアースペクトル

4.その他・特記事項(Others)
 なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) T. Kusumori, A. Fujita, K. Mibu, Applied Physics Express, 9 (2016) 043001-1 – 043001-4.

6.関連特許(Patent)
 なし

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