利用報告書
課題番号 :S-15-MS-1078
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :紫外光照射によるアミノ酸の不斉合成
Program Title (English) :Asymmetric synthesis of amino acids by UV irradiation
利用者名(日本語) :江島智博1), 平谷篤也2)
Username (English) :T. Ejima1), A. Hiraya2)
所属名(日本語) :1) 広島大学理学部, 2) 広島大学大学院理学研究科
Affiliation (English) :1) Faculty of Science、Hiroshima University, 2) Graduate School of Science, Hiroshima University
1.概要(Summary )
地球上のアミノ酸はわずかな例外を除き、L体であるホモキラリティーの起源については多くの研究がなされ、太陽系生成期の火星軌道から飛来した隕石でもL体過剰が観測されたことから、宇宙が起源と考えられている。宇宙空間での簡単な分子への光や高エネルギー粒子照射によって生成するラセミ体アミノ酸重合体の円偏光による不斉分解で不斉が生じるとする説が主流となっている。しかし、重合体内でのアミノ酸の不斉分解過程は知られていないだけでなく、重合体から遊離アミノ酸が生じる加水分解は自然界では長時間かかりラセミ化と競合してしまう。我々はアキラルで簡単な構造を持つ分子混合物への紫外光照射でアミノ酸が直接生成する過程を見出し、円偏光や強磁場などヘリシティ場下ではアミノ酸が直接不斉合成される可能性を示した。本課題は実証実験である。
2.実験(Experimental)
分子科学研究所機器センターに設置されているArFエキシマーレーザーの193nmレーザー光をいくつかの照射条件でアキラル分子(イソプロピルアミン、アンモニア、水)の混合試料に照射し、生成するアミノ酸(主にアラニン)の不斉度を測定した。
照射条件
1)右回り円偏光と左回り円偏光
2)無偏光進行方向に対して磁場が平行と反平行
3)円偏光進行方向に対して磁場(B)が平行と反平行
無偏光のエキシマーレーザー光は深紫外対応の直線偏光プリズムで直線偏光とし、さらに深紫外対応の1/4波長ロションプリズムで右回り、左回りの円偏光とした。磁場強度は中心磁束密度2Tで測定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
右回りと左回りの円偏光を照射した試料では検出限界と同程度の微小ではあるが、円二色性(CD)スペクトルの差が認められた。ただし、差が認められたCD波長は主として生成されると考えられるアラニンのCD帯とは異なっていることなどから、本課題の目的であるアミノ酸の直接不斉合成を検証するためには、より照射光子数の大きい再現実験が必要である。
無偏光の進行方向に対して磁場を平行あるいは反平行にした場合、左右円偏光進行方向に対して磁場を平行あるいは反平行にした場合については、どちらの場合も磁場の平行と反平行で得られた照射試料の間で円二色性スペクトルの差は観測されなかった。これは今回用いた磁場強度では磁気光学効果による光学異性が小さかったためと考えられる。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







