利用報告書

細胞選択的ペプチドを用いたバイオマテリアル開発
蟹江慧1), 大口明日基1),金子喬士郎1)
1) 名古屋大学大学院創薬科学研究科

課題番号 :S-16-NU-0041
利用形態 :技術相談、技術補助、機器利用
利用課題名(日本語) :細胞選択的ペプチドを用いたバイオマテリアル開発
Program Title (English) :Development of biomaterials using cell-selective peptide
利用者名(日本語) :蟹江慧1), 大口明日基1),金子喬士郎1)
Username (English) :K. Kanie1), A. Oguchi1), K. Kaneko1)
所属名(日本語) :1) 名古屋大学大学院創薬科学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Pharmaceutical Sciences、Nagoya University

1.概要(Summary)
体内留置型医療機器開発には、その素材となる材料に生体内の組織と同様な性質を有する必要性がある。具体的には炎暑反応が起こらないような生体適合性や、単一細胞だけが増えたりしない細胞選択性が必要とされる。
本課題では、生体適合性・細胞選択性を兼ね備えたマテリアル開発を目的とする。また細胞は、材料表面と生化学的に相互作用しているといわれる一方、材料表面の物理化学的にも相互作用していることが知られている。しかし生体材料開発には、素材や組み合わせを考えると無数に存在し、ただ単純に組み合わせていたのでは非効率である。そこで我々は、材料表面の物性値を詳細に測定することにより、物性値と細胞接着性の関係性を明らかにすることを目標とした。更に、対象細胞を増やして研究を行うことにより、ある細胞だけに選択的に接着する材料表面物性が存在することを期待している。
2.実験(Experimental)
生体材料合成を検討するうえで、本課題ではまず材料表面の親水・疎水度を変えることが可能な高分子材料(PCL)を用いた。もともと、細胞接着は材料表面の親水・疎水度に影響することが知られている。
そこで、PCLコーティングガラス基板を作製し、表面上にどのくらいの厚みで合成されているのかを確認した(カスタマイズXRD装置、Rigaku社製FR-E)。更に、ペプチド修飾の際に、脱保護処理の行程があるため、その前後で膜厚保がどのくらい変化しているかを計測した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
カスタマイズXRD装置を用いたXRR測定及びフィッティング解析の結果、ガラス表面上にPCLは膜厚: 12 nm、密度: 0.7 g/cm-3 で合成されていることが分かった。更に、脱保護後には膜厚が3 nm、密度: 0.7 g/cm-3 で合成されていることも分かった。

4.その他・特記事項(Others)
本測定を進めるに当たり、永野修作准教授、原光生助教には多大なるご支援をいただいた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
<論文>
(1) Rio Kurimoto, Kei Kanie, Naokazu Idota, Mitsuo Hara, Shusaku Nagano, akehiko Tsukahara, Yuji Narita, Hiroyuki Honda, Masanobu Naito, Mitsuhiro Ebara, Ryuji Kato, International Journal of Polymer Science, Volume 2016, Article ID 2090985 (2016)
(2) Rio Kurimoto, Kei Kanie, Koichiro Uto, Shun Kawai, Mitsuo Hara, Shusaku Nagano,Yuji Narita, Hiroyuki Honda, Masanobu Naito, Mitsuhiro Ebara, Ryuji Kato, Analytical Sciences, 32(11), 1195-1202 (2016)
<学会>
(1) 栗本理央, 蟹江慧, 宇都甲一郎, 河合駿, 原光生, 永野修作, 成田裕司, 加藤竜司, 内藤昌信, 荏原充宏, 日本生物工学若手研究者の集い 夏のセミナー2016, 2016年7月
(2) Rio Kurimoto, Kei Kanie, Koichiro Uto, Shun kawai, Mitsuo Hara, Shusaku Nagano, Yuji Narita, Hiroyuki Honda, Masanobu Naito, Ryuji Kato and Mitsuhiro Ebara, 2nd International Symposium on Nanoarchitectnics for Mechanobiology, 2016年7月
(3) 栗本理央, 蟹江慧, 宇都甲一郎, 河合駿, 原光生, 永野修作, 成田裕司, 本多裕之, 内藤昌信, 荏原充宏, 加藤竜司, 第16回日本再生医療学会総会, 2017年3月

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