利用報告書
課題番号 :S-16-OS-0043
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :絶縁体酸化物薄膜の成膜速度に関する調査研究
Program Title (English) :Research on deposition rate of functional oxide films prepared by PLD method
利用者名(日本語) :山田 康平1), 金井 真樹2)
Username (English) :K.YAMADA1), M.KANAI2)
所属名(日本語) :1) 誠南工業株式会社, 2) ナノテクノロジー・インスツルメンツ株式会社
Affiliation (English) :1) SEINAN KOGYO , Co., Ltd. 2) Nano Technology Instruments, Co., Ltd.
1.概要(Summary)
誠南工業が販売しているPLD (pulsed laser deposition) 装置の性能向上を目指す中で、現状装置の性能把握を行いたい。先に、本方法で酸化物薄膜形成を行った結果、材料により成膜速度が大きく異なるように見受けられた。そこで、同一装置・条件で、数種の絶縁体酸化物を薄膜化し、成膜速度の比較検討を行った。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
SO1 人工超格子薄膜形成システム(PLD)
【実験方法】
今回は、4種類の酸化物ターゲット(BaTiO3, BaZrO3, LaAlO3, ZrO2)を準備し、それぞれ同一条件でSrTiO3基板上に成膜した。使用した装置は大阪大学ナノテクノロジープラットフォーム既設の人工超格子薄膜形成システム(PLD)である。光源はArFエキシマレーザー( = 193nm)、基板温度は600℃、成長雰囲気は酸素ガス10Paで統一した。それぞれの材料に対し、膜厚評価の結果より堆積速度の材料依存を見積もった。
3.結果と考察(Results and Discussion)
レーザー1パルスあたりの成膜速度を見積り、BaTiO3の速度を1として規格化した。結果はBaTiO3:BaZrO3:LaAlO3:ZrO2 = 1 : 0.41 : 0.24 : 0.16 となった。材料4種類のみの比較であるため詳細な検討はできないが、この成膜速度差がどのような材料物性に関係しているのかについて、大まかな傾向を調査した。光源が短波長紫外レーザーであることから、電子励起がアブレーション現象のトリガーになっている可能性が高いので、ここではターゲット材料の仕事関数およびバンドギャップ(4種類とも絶縁材料であるのでギャップが定義できる)と堆積速度の関係を調べた。また材料構成原子(イオン)の結合強度指標として融点との比較も行った。比較結果を図1に示す。他に比べ、バンドギャップとの相関性が非常に系統的である。使用したフォトンエネルギーは6eV以上であり、系統性の起源がはっきりしないが、1つの指針として有効であろう。バンドギャップの大きな材料を使用する場合に、より高周波のレーザーを選定するなどの対応が可能である。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







