利用報告書
課題番号 :S-20-NU-0028
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :考古遺跡から出土した動物遺存体のコラーゲンの経年劣化状態の観察
Program Title (English) :Degradation analysis of collagen of archaeological faunal remains
利用者名(日本語) :大澤 桃子1), 門脇 誠二1)
Username (English) :Momoko Osawa1), Seiji Kadowaki1)
所属名(日本語) :1)名古屋大学大学院環境学研究科
Affiliation (English) :1)Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University
1.概要(Summary )
考古遺跡から出土する動物骨や歯といった動物遺存体は, 当時の人類の牧畜や狩猟行動を知る上で重要な資料である. 骨や歯に含まれるタンパク質の一種であるコラーゲンは, 安定な三重らせん構造を持ち,半減期がDNAの約10倍の18万年(10˚C)と見積もられているなど, より経年劣化した試料中にも残存しやすいとされているが, 保存状態には時間や温度, 埋没環境など様々な要因が関係する. 本研究では, 現生・新石器時代(8,000–7,500年前)・終末期旧石器時代(2.8–1.8万年前)の試料を用い, SEMおよびSEM-EDSを用いた劣化状態の分析を行った.
2.実験(Experimental)
①2.5%グルタルアルデヒド+0.1 Mリン酸緩衝液で1–2時間浸漬固定
②10% EDTAに3週間浸漬し, 脱灰
③2%酸化オスミウム (VIII) 溶液に2〜3時間浸漬
④エタノール脱水 (50%, 70%, 80%, 90%を各10分, その後100%を10分×2回)
⑤置換 (エタノール: t-ブタノール = 3:1, 2:2, 1:3で各15分, 100% t-ブタノール 15分×2回)
⑥JFD-320(日本電子)でt-ブタノール凍結乾燥
⑥OPC-60A(Filgen)でオスミウムコーティング
⑦JSM-7500F(日本電子)でSEM, SEM-EDS測定
3.結果と考察(Results and Discussion)
新石器時代の試料では, 現生試料と同等のコラーゲン線維が観察され, SEM-EDSでもコラーゲンに由来する炭素, 窒素の高いピークが見られた. 対照的に, 終末期旧石器時代の試料は現生・新石器時代の試料と比較して明らかなコラーゲン線維は観察されず, コラーゲン線維の存在を示唆する炭素と窒素のピークもほとんど見られなかった. 終末期旧石器時代のTor Hamar遺跡では, 人口増加により狩猟動物が枯渇し, 人々はガゼルなどの小型の狩猟動物の骨を粉砕・煮沸することで栄養を得ていたとされている. このような人類の食料獲得行動が温度やpHなどの環境要因に加えてコラーゲンの劣化を進める要因となり, Tor Hamar遺跡の動物遺存体の保存状態に反映されている可能性が高い.
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







