利用報告書
課題番号 :S-13-NU-0054
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :耐スクラッチ性の検討
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :小長谷 重次1), 野間 慶一2)
Username (English) :S. Konagaya1), K. Noma2)
所属名(日本語) :1)名古屋大学大学院工学研究科, 2) フジデノロ株式会社
Affiliation (English) :1) Nagoya University, 2) Fujidenolo, Co., Ltd.
1.概要(Summary )
プラスチック表面の耐引っ掻き性(耐スクラッチ性)の向上を目的とし、CeNF充填PVA複合体コート液の耐スクラッチ性に与えるCeNFの効果について検討した。
2.実験(Experimental)
2.1試薬
2%CeNF/スラリー(ファイバー径:25nm、スギノマシン(株)製)、PVA505(クラレ(株))製)、市販品を所定の溶媒で希釈した後、CeNF/PVA複合体の作製に使用した。
2.2CeNF/PVA複合体の作製
水添加により濃度を調整したCeNF/PVAコート液を乾燥固体膜の厚みが10µmとなるようにスライドガラス(2mm厚)上にコート、続いて60℃の加熱プレート上で10分間の予備乾燥、さらに100℃の熱風乾燥機内で1時間熱処理しCeNF/PVA膜を作成し諸評価を行った。
2.3鉛筆硬度(耐スクラッチ性)評価
コート膜表面の耐スクラッチ性はJIS K5600-4のひっかき硬度評価法に基づいた鉛筆硬度より判定した。鉛筆硬度が高いほど耐スクラッチ性に優れる。
利用装置: ζ電位計、走査型電子顕微鏡、FT-IR
3.結果と考察(Results and Discussion)
3.1CeNF添加効果
CeNF充填量が30~40%でCeNF/PVA複合膜の耐スクラッチ性は2Hから5Hに向上したが、60%添加では逆に4Hに低下した。FT-IR測定によるとCeNF/PVA複合体のPVA結晶バンド(1146cm-1)に変化がないので、耐スクラッチ性向上はCeNF添加によるPVA結晶化が原因ではない。CeNF、PVAともに水酸基を有し容易に混合するので、CeNF/PVA複合体内でCeNFはナノ分散するのと同時にPVAと水素結合し疑似架橋体となり、葉面硬度の増大すなわち耐スクラッチ性の向上をもたらしたと考えられる。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 小長谷重次、古橋浩子、大橋達巳、多田熏、山田敏郎、野間慶一、「セルロースナノファイバー(CeNF)の耐スクラッチ性向上効果」成型加工シンポジア
6.関連特許(Patent)
(1) 小長谷重次、野間慶一、田口喜崇、宮崎秀樹“組成物、その組成物を積層した積層体、およびその組成物を形成するためのハードコート剤” 特開2015-160870、平27年9月7日(公開日)







