利用報告書
課題番号 :S-19-NR-0034
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :脂質膜空間を利用したナノ粒子合成法の研究
Program Title (English) :Studies on Nanoparticle Synthesis in Lipid Membrane Space
利用者名(日本語) :越山友美
Username (English) :Tomomi Koshiyama
所属名(日本語) :立命館大学 生命科学部
Affiliation (English) :College of Life Sciences, Ritsumeikan University
1.概要(Summary )
様々な物性を示すナノ粒子は、イメージング、人工酵素、薬物輸送体などのバイオテクノロジーへの応用が期待されている。そのため、高い水中分散性と生体親和性を有する蛋白質やベシクル等の生体分子とナノ粒子との複合化は要となる技術であり、これまでに生体分子の内部空間を利用したナノ粒子の合成法が報告されている。本研究では、ナノ粒子を合成する場として「球状の人工膜であるリポソーム」と「天然の細胞膜」を選択し、触媒能を有する金やパラジウムなどの金属ナノ粒子の合成を目指した。金属ナノ粒子の物性や特性は、粒子のサイズ、形状などに大きく依存する。そこで、金属ナノ粒子の積極的なサイズ制御のため、金属結合性ペプチドを修飾したリポソーム、または、細胞膜を作製し、金属イオンと還元剤の添加により金属ナノ粒子の合成を試みた。
2.実験(Experimental)
本実験では、金ナノ粒子の合成と同定を行った。金結合性ペプチドを修飾したリポソーム、または、細胞膜に、金イオン源を添加し、NaBH4により還元した。精製後、各種分光スペクトル測定とTEM測定により形成した金ナノ粒子を解析した。TEM測定では、奈良先端科学技術大学院大学 ナノテクノロジープラットフォームの支援を受け、300kV 透過電子顕微鏡 (JEOL JEM-3100FEF) を用いて金ナノ粒子を観察した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
金結合性ペプチドを修飾した細胞膜、および、修飾していない細胞膜を用いた金ナノ粒子の合成では、両サンプル共に、NaBH4還元により赤紫色への変化が観測された。吸収スペクトル測定では、520 nm付近に、金ナノ粒子に由来する局所表面プラズモン吸収が確認できた。また、金結合性ペプチドを修飾した細胞膜を用いた場合、局所表面プラズモン吸収が修飾していないものに比べて若干短波長側にシフトした。このことから、金結合性ペプチドが存在する場合、形成する粒径サイズが小さいことが示唆された、そこで、300kV 透過電子顕微鏡観察により、金ナノ粒子の粒径サイズ、形状、単位面積あたりの粒子数を解析した。金結合性ペプチドを修飾した細胞膜では、5 nm程度のより小さなナノ粒子が多数観察され、金結合性ペプチドの有無による優位な差がみられた。現在、より詳細なナノ粒子の解析、および、触媒能などの特性評価を進めている。
4.その他・特記事項(Others)
TEM測定あたり、事前打ち合わせや測定方法に関する有益なご助言をいただいた奈良先端科学技術大学院大学の安原主馬准教授(協力研究支援研究者)、また、測定を行っていただいた技術専門職員の藤原正裕氏と大野智子氏に深く感謝の意を表します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
○松本歩乃香、今村比呂志、加藤 稔、越山友美「ゴースト赤血球の内部空間を利用した金属ナノ粒子の合成」日本化学会第100春季年会 (2020)、東京理科大学、2020年3月23日
6.関連特許(Patent)
該当なし







