利用報告書
課題番号 :S-15-MS-1053
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :自己凝集能を導入した有機半導体の光吸収と分子配列の解明
Program Title (English) :Solid State Optical Properties and Molecular Arrangements of Self-Aggregated Molecular Semiconductors
利用者名(日本語) :植田 一正
Username (English) :K. Ueda
所属名(日本語) :静岡大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :Graduate School of Engineering, Shizuoka University
1.概要(Summary )
貴研究所所有の単結晶X線回折装置を用いて、固体状態で近赤外光領域に大きな吸収を有する有機半導体の結晶構造解析を行った。今回測定した半導体は、結晶内で分子の長軸を反転させながら積層していた。結晶構造解析より得られた原子座標を元に、隣接二分子の分子軌道を計算したところ、LUMOのローブが同位相で接近していることが明らかとなった。
2.実験(Experimental)
測定に用いた単結晶は室温下二硫化炭素とペンタンの混合溶液中で作製した。得られた単結晶はガラス棒の上に接着剤で固定した。
単結晶X線開設装置としてRigaku MERCURY CCD-1、MERCURY CCD-2、MERCURY CCD-3を用い、室温から-100℃の測定温度範囲で測定を行った。
また、DFT計算にはgaussian09を用いた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
今回構造解析を行った半導体は、結晶内で分子の長軸を反転させながら積層していた。この積層様式は、これまでに構造の明らかとなっているものと大きく異なっていた。
固体状態で近赤外光を吸収する半導体に新たな分子配列が発見されたので、結晶構造解析より得られた原子配列を用いてDFT計算を行った。
単一分子の計算結果より平面性の高い半導体に特徴的な分子軌道が得られたので、π共役部位の電子状態はこれまでに合成した半導体と同様であることが明らかになった。
隣接二分子のDFT計算を行ったところ、HOMOではローブが逆位相で接近しているのに対し、LUMOではローブが同位相で接近していることが明らかとなった。この傾向は、これまでに合成した積層様式の異なる半導体のうち、近赤外光を吸収するものと似ていた。
本研究では、固体状態で近赤外光を吸収する有機半導体の分子配列を解明し、その吸収の起源をDFT計算を用いて明らかにしようとした。近赤外光の吸収に必要な隣接二分子間の位置関係に関する有益な情報は得られたが、吸収の帰属には至らなかった。
4.その他・特記事項(Others)
本研究に用いた化合物は静岡大学技術部の草薙弘樹氏、静岡大学工学部物質工学科4年の中條航希氏そして本課題の利用者との共同で合成された。ここに、お二人の協力に感謝の意を示す。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 「近赤外領域に吸収を持つアルキルチオ置換2,5-ジ(1,3-ジチオール-2-イリデン)-1,3-ジチオラン-4-チオン誘導体の合成と固体での光物性」(植田一正、草薙弘樹、中條航希)日本化学会第96春季年会(2016),2016年3月24日(木)~27日(日),京田辺市,京都府 (2016).
(2) Size-effect of Alkylthio Groups on Solid State Optical Properties of MethoxyCarbonyl Substituted 2,5-Di(1,3-dithiol-2-ylidene) -1,
3-dithiolane-4-thione Derivatives, (K. Ueda) The Seventh East Asia Symposium on Functional Dyes and Advanced Materials (EAS7), Osaka, Japan, September 2-5, 2015 (Invited lecture).
6.関連特許(Patent)
なし。







