利用報告書

自己組織化を用いたカーボンナノチューブのマクロスコピックパターニングの研究
安倍 悠朔1), 松田 佑1)
1) 早稲田大学 理工学術院

課題番号 :S-20-JI-0024
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :自己組織化を用いたカーボンナノチューブのマクロスコピックパターニングの研究
Program Title (English) :Study on macroscopic patterns of SWCNT using self-assembly mechanism
利用者名(日本語) :安倍 悠朔1), 松田 佑1)
Username (English) :A. Yusaku Abe1), B. Yu Matsuda1)
所属名(日本語) :1) 早稲田大学 理工学術院
Affiliation (English) :1) Faculty of Science and Engineering, Waseda University

1.概要(Summary )
単層カーボンナノチューブ(SWCNT: Single-walled carbon nanotube)は優れた機械的特性,電気的特性を有することから次世代材料として注目されている.しかしながら,SWCNTは高アスペクト比であり,SWCNT同士が強い分子間力により絡まりあってしまう.そしてこの問題点がデバイス応用への障壁となっている.そこで本研究ではSWCNTの可溶化処理とスピンコート法による成膜でSWCNTを分離,配列化することを目指す.具体的には,まずSWCNTと可溶化剤を溶液中で混合し,SWCNT溶液を調製する.なお,可溶化剤にはフルオレンを含む高分子を用いる.次に,調製したSWCNT溶液をシリコン基板上にスピンコート法により成膜し,SWCNTを配列化させる.本研究によりSWCNTの配列化を実現することで,SWCNTをもちいた半導体素子やフォトニクス材料の創製へとつながることが期待される.

2.実験(Experimental)
北陸先端科学技術大学院大学では膜内部の形態観察および解析を行った.まず,電子顕微鏡観察試作作製装置を用いてSWCNT膜から測定用サンプルを作製した.つぎに,原子分解能走査透過型電子顕微鏡・STEMを用いてSWCNT膜の断面を観察した.

3.結果と考察(Results and Discussion)
電子顕微鏡観察試作作製装置を用いたサンプル作製では膜表面の保護のためにカーボン,白金パラジウム,タングステンによるコーティングを施した.原子分解能走査透過型電子顕微鏡によるSWCNT膜断面の観察では,SWCNTと思われる黒い影の集合が等間隔で観察された.そこで,黒い影がSWCNTであることを確かめるため,二つの解析を行った,第一に,黒い影ひとつひとつの直径を計測したところ,約1 nmほどであった.これはSWCNTの直径と一致する.第二に,黒い影内部の原子の結合距離を計測したところ,約0.14 nmほどであった.これはSWCNTの炭素間結合距離に一致する.これらの解析から,黒い影として映っていた物質はSWCNTであると考えられる.また,SWCNTの集合が等間隔で観測されたことから,膜にはSWCNTが規則的に配列化している様子が確かめられたと言える.

4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム(分子・物質合成)の支援により北陸先端科学技術大学院大学で実施された.
本研究の一部は文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム(分子・物質合成)の支援により九州大学で実施された.
本研究の一部は文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム(分子・物質合成)の支援により分子科学研究所で実施された.

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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