利用報告書
課題番号 :S-15-JI-0043
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :複数金属を含むナノ粒子の形状観察および組成分析
Program Title (English) :Structure and elemental analysis for composite metal nanoparticles
利用者名(日本語) :迫野奈緒美
Username (English) :Naomi Sakono
所属名(日本語) :富山高等専門学校 物質化学工学科
Affiliation (English) :Department of Applied Chemistry and Chemical Engineering, National Institute of Technology, Toyama College
1.概要(Summary)
気相法により生成した金属ナノ粒子の形状および組成分析を行った。観察するナノ粒子は、2種類の金属を複合化したものをお願いした。使用した2種類の金属が含まれていること、およびどのくらいの割合で含まれているかがわかるようなデータが得られることを期待し、依頼した。
2.実験(Experimental)
利用設備名:日立ハイテクノロジーズ社製 H-7650
日本電子社製 JEM-ARM200F
富山高専にてナノ粒子生成および顕微鏡観察用グリッドへの滴下・乾燥までのサンプル調製を行った。生成したナノ粒子は、ナノ粒子中に含まれる金属の割合を変えた2種類(サンプル1、サンプル2)を調製した。調製したサンプルを北陸先端大に送り、技術代行の形で観察を依頼した。得られた画像を元に、今回担当して頂いた技術員の方々および北陸先端大の教員と、データの解釈についてディスカッションを行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に、2種類のサンプルから得られたTEM画像を示す。どちらも、粒径が20 nm程度および10 nm以下の2種類のナノ粒子が観察された。粒子の形状はどれもおおよそ球形であった。また、複数のナノ粒子が集まった島状に存在している部分も多数見られた。さらに、観察画面に含まれる全ての粒子に対する組成分析を行った。図2に、組成分析を行った範囲のTEM画像を、また表1に、組成分析で得られた組成比を示す。今回使用した2種類の金属どちらも存在することが明らかとなった。しかし、ナノ粒子1粒中の組成割合、およびナノ粒子を構成する元素がナノ粒子中のどのあたりにどのくらいの割合で存在するのか、という点については、今回の測定でははっきりしなかった。今後、さらにサンプル調製を検討した上で再度観察を依頼し、ナノ粒子1粒中の組成を明らかにしたいと考えている。
図1. 依頼分析により得られたTEM画像。(a)サンプル1、(b)サンプル2。
図2. 組成分析を行った場所のTEM画像。(a)サンプル1、(b)サンプル2。
表1. 図2の画像から得られた組成比
サンプル1 サンプル2
Element Weight% Atomic% Weight% Atomic%
Cl K 4.89 14.03 14.37 34.20
Ag L 79.51 74.91 82.25 64.35
I L 10.60 8.49
Au M 4.99 2.58 3.38 1.45
Totals 100.00 100.0
4.その他・特記事項(Others)
技術支援員:東嶺孝一様、小林祥子様
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。