利用報告書
課題番号 :S-20-NI-0014
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :触媒粒子のTEM観察
Program Title (English) :TEM Observation of catalyst particles
利用者名(日本語) :丸山隆浩1), 柄澤周作1), 小林将也1)
Username (English) :T. Maruyama1), S. Karasawa1), M. Kobayashi1)
所属名(日本語) :1) 名城大学理工学部
Affiliation (English) :1) Faculaty of Science and Technology、Meijo University
1.概要(Summary )
エレクトロニクス分野や濾過膜への応用に向け,直径1 nm程度以下の細径の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の高効率作製技術の開発が望まれている。我々のグループでは,これまでIrを触媒に用いることで直径1 nm程度以下の細径のSWCNTの作製に成功した。しかし,コールドウォール型化学気相成長(CVD)装置を用いての成長であったため,量産性に問題があった。本研究では,ホットウォール型のCVD装置を用いて,Ir触媒からのSWCNTの作製について検討した。
2.実験(Experimental)
SWCNTの作製には,ホットウォール型のCVD装置を用いた。Ir触媒をSiO2/Si基板上に堆積させ,成長温度まで加熱したのち,エタノールガスをCVD装置内に供給し,SWCNT成長を行った。作製したSWCNTは,ラマン分光,走査電子顕微鏡(SEM),および透過電子顕微鏡(TEM)観察により評価を行った。TEM観察は名工大日原研究室のHitachi HF-2000を用いて行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1(a)にIr触媒粒子のTEM像を示す。また,図1(b)にSWCNTのTEM像を示す。さらに,図2(a)と(b)に900℃においてIr触媒から成長したSWCNTのSEM像とその断面図を示す。長さ400 nm程度のSWCNTがSiO2/Si基板上に垂直配向して成長している様子が観察された。また,より詳しいTEM観察から,SWCNTの直径は主に1 nm以下であることがわかった。さらに,4波長のレーザを励起光として用いたラマン分光測定の結果からも,SWCNTの直径は主に1.2 nm以下に分布していることがわかった。以上より,ホットウォール型CVD装置を用いても,垂直配向した細径SWCNTをIr触媒から成長させることに成功した。
4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は,私立大学研究ブランディング事業“新規ナノ材料の開拓と創製による名城大ブランド構築プログラム”の支援を受けました。TEM観察では,名工大日原岳彦教授にお世話になりました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) A. Misaki, T, Saida, S. Naritsuka and T, Maruyama, Jpn. J. Appl. Phys,Vol. 60(2012)p.p.015003.
(2) A. Misaki, 応用物理学会第68回春季学術講演会, 令和3年3月19日
6.関連特許(Patent)
なし