利用報告書
課題番号 :S-20-KU-0012
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :近赤外発光を有する蛍光体の合成
Program Title (English) :Synthesis of near infrared emission phosphor
利用者名(日本語) :新田 祐大1) ,田中翔人1) ,大観光徳1)
Username (English) :Yudai Nitta1),Tanaka Syouto Koutoku1), Koutoku Ohmi1)
所属名(日本語) :1) 鳥取大学大学院持続性社会創生科学研究科
Affiliation (English) :1) Sustainability Science、Tottori University
1. 概要(Summary )
これまで生体イメージング用蛍光体として, 液相合成法によりナノ粒子蛍光体Ca10(PO4)6(OH)2:Mn5+ (HAp)の作製に取り組んできた[1]. 最近ではCa2SiO4やCa2GeO4等へのMn5+付活を検討している[2]. 本研究では,Mn5+が置換されやすいサイトを検証すべく,P5+とSi4+ (またはGe4+)の両方を含む母体としてCa5(PO4)2AO₄(A=Si,Ge)に着目し,Mn5+の発光特性を評価した.
2.実験(Experimental)
Ca5(PO4)2SiO₄:Mn5+(CPS),
Ca5(PO4)2GeO₄:Mn5+(CPG)は固相反応法により作製した.作製した蛍光体は近赤外蛍光分光装置HORIBA(Fluorolog-NIR)を用いてNIR域における発光特性を評価した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Figure 1に作製した試料の励起波長600 nmでのPLスペクトルを示す. いずれの試料とも,Mn5+の3d2-3d2内殻遷移 (1E→3A2)に起因する近赤外発光が見られる.HApはシャープな発光を,またCPS, CPG両試料は長波長側に裾を帯びたブロードな発光を呈する. 従ってMn5+はP5+よりもSi4+やGe4+に優先的に置換したと推察される. CPS, CPGはいずれともHApに比べて積分強度が増加しており,Si4+, Ge4+へのMn5+置換は有望である.
Figure 1 PLスペクトル
4.その他・特記事項(Others)
[1] 竹内遼 他, 信学技法, EID2018-13, pp.93-96, 2019.
[2] 田中翔人 他 信学技法,EID2019-11,pp.53-56, 2020.
測定については九州大学の石田 真敏助教に技術代行いただきました。深く感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)新田祐大, 田中翔人, 大観光徳
2021年度 応用物理学会春季学術講演会
令和3年3月19日
6.関連特許(Patent)
なし。