利用報告書

逆転写酵素のテンプレートとなる長鎖散在性反復配列RNAの動的構造解析のためのスピンラベル測定
幡野 明彦
芝浦工業大学工学部共通学群化学科目

課題番号 :S-18-MS-1052
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :逆転写酵素のテンプレートとなる長鎖散在性反復配列RNAの動的構造解析のためのスピンラベル測定
Program Title (English) :Electron spin measurement for the complex between a reverse transcriptase and a RNA of long interspersed nuclear element
利用者名(日本語) :幡野 明彦
Username (English) :Akihiko Hatano
所属名(日本語) :芝浦工業大学工学部共通学群化学科目
Affiliation (English) :Shibaura Institute of Technology

1.概要(Summary )
 ゲノム内には塩基配列の繰り返し部分があり,長鎖散在反復配列(Long Interspersed Nuclear Element, LINE)などが知られていて,犯罪捜査などの一個人の特徴を示す情報としても注目を集めている。LINEが生体内に存在する理由は,ウイルスなどが持つ逆転写酵素が原因であると言われているが,詳細は分かっていない。自分自身のDNA塩基配列がmRNAに写し取られ,そのmRNAが逆転写酵素により自分自身のゲノム内に挿入されることをレトロポゾンと言う。このレトロポゾンによりLINEがゲノム内に挿入されてゲノムが増大するが,その役割はよく分かっていない。これらの繰り返し配列は,ヒトでは21%であるがトウモロコシでは80%にものぼる。いったい,なぜこのような不思議な現象が起り,どのような役割をしているのであろうか。
 LINE RNAと逆転写酵素の動的立体構造解析を行えば,ゲノム内に繰り返し配列が挿入されるメカニズムが明らかになり,ゲノムが増大する理由の解明に繋がると考えた。LINE RNA配列内にスピンラベルを導入することで常磁性緩和促進が生じタンパク質との複合体解析に有効となる。
 そのため,スピンラベル化ヌクレオシドの合成とラジカルの確認が必要不可欠である。前回の分子科学研究所ナノプラットフォーム施設利用では,有機化学的に合成したスピンラベル化ヌクレオシドにラジカルが導入されたことを電子スピン共鳴により確認した。今回は研究を1段階進め,RNA配列内にスピンラベル化ヌクレオシドを導入し,RNA内にラジカル部位が導入された事を確認する。
2.実験(Experimental)
 図1に示すスピンラベル部位をRNAに導入するため,2種類の方法を試みた。一つは,ヌクレオシドにスピンラベル部位を導入し,RNA内に導入する方法である。第二に,5−ヨードウリジンをRNA配列内に導入し,その後に園頭カップリングによりニトロキシラジカルを導入することを試みた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
 本年度の実験では,スピンラベルが消去されていることを本学NMR装置によって明らかにした。そのため,残念ながら本年度は機器利用に至っていない。
4.その他・特記事項(Others)
 中村敏和先生にはESRのことや研究の進展状況について多大なご助言を頂きました。感謝の意を示します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) A. Hatano, T. Nakamura et.al. Synth. Commun., 2019, 49, 136–145.
6.関連特許(Patent)
無し

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