利用報告書
課題番号 :S-16-MS-1036, S-16-MS-1036b
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :配列データベースから設計したL-アミノ酸脱水素酵素の機能解析 (S-16-MS-1036, S-16-MS-1036b)
Program Title :Functional analysis of L-amino acid dehydrogenae designed from sequence database
利用者名(日本語) :中野 祥吾1)
Username (English) :S. Nakano1),
所属名(日本語) :1) 静岡県立大学食品栄養科学部
Affiliation (English) :1) Univ. of Shizuoka
1.概要(Summary )
次世代シーケンサーなどに代表される、ゲノム配列データ解析技術の革新により、様々な生物由来の遺伝子データがPubMedに代表されるデータベースに登録されるようになった。これらのデータを解析し、有用な情報を抽出するデータマイニングの手法開発が近年、求められている。我々のグループでは酵素の一次配列に注目した新たなデータマイニング手法であるINTMSAlign_screeningを開発してきた。INTMSAlign_screeningはデータベースより産業上有用な酵素配列を選別するためのツールである。本ツールを用いて取得した、数十個のL-アミノ酸脱水素酵素の配列を解析し、設計した人工タンパク質FcAmDHのNAD+との親和性を確認するため、等温滴定カロリメトリーを用いた測定を行った。なおFcAmDHはNAD+を補因子としてある特定のL-アミノ酸の脱水素反応を触媒する酵素である。
2.実験(Experimental)
当研究室で取得したFcAmDHを濃度が0.16mMになるまで濃縮し、これをサンプルとした (酵素溶液)。なおサンプルは、10mM リン酸カリウム (pH=7.0), 50mM NaClの組成からなるBufferを用いて透析した。また透析溶液を用いて1mM NAD+溶液を調製した (基質溶液)。分子研が所有する等温滴定カロリメトリー (iTC200)を用いて、酵素溶液に基質溶液を滴定し、その熱量変化を測定することで、FcAmDHとNAD+の結合定数や各種熱化学パラメータの決定を行った。パラメータの算出には、ORIGINを用いて行った。なお測定は分子研のiTC200に加え、他機関の所有するPEAQ-ITCも用いて行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
iTC200を用いた測定により、以下のようなITCデータと結合等温点をえることができた。
なお得られたITCデータより算出した各種パラメータは以下の通りである: Kd = 0.173mM, ΔG = -21.5 kJ/mol, ΔH = -48.0kJ/mol, -TΔS = 26.5 kJ/mol。現在、同時並行で進めていたFcAmDHの立体構造決定の結果と計算化学解析を組み合わせることで、これらのパラメータの妥当性を評価している。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) S. Nakano et al., J. Phys. Chem. B, 120: 10736–10743 (2016)







