利用報告書
課題番号 :S-18-MS-1012
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :酸素酸化反応による合成手法の開発およびDNA付加体の合成研究
Program Title (English) :Development of synthetic methods using molecular oxygen and synthesis of
DNA adducts
利用者名(日本語) :黒野暢仁1)
Username (English) :Nobuhito Kurono1)
所属名(日本語) :1) 浜松医科大学
Affiliation (English) :1) Hamamatsu University School of Medicine
1.概要(Summary )
本研究課題は「効率的かつ環境調和的な合成手法の開発」と「がん組織から抽出した物質に対する標準化合物の合成」を目的としています。前者は、分子状酸素による酸化反応をターミナル酸化プロセスとして取り入れた酸化的カップリング反応の開発を検討しました。その結果、テトラヒドロイソキノリン類を基質とした反応で、触媒化に導くことができ、1位でのカップリング生成物(一般式、右図の化合物1)を高収率で得られることを明らかにしました。後者は、がん組織より抽出されたDNA修飾体(DNA付加体)のLC-MSスペクトルの結果に基づいて、推定される物質の化学合成を行いました。既報の工程を改変しながら、ターゲット分子であるBPDE-dG(ベンゾピレン誘導体とデオキシグアノシンのカップリング生成物、右図の化合物2)の生成を確認することまで達成できました。
2.実験(Experimental)
本課題では有機合成化学に関わることから、核磁気共鳴装置が研究推進に不可欠であり、JEOL社製 JNM-ECA600をいつも良く整備された状態で使用させて頂きました。具体的な実験については、以下の通りです。
【酸化的カップリング反応の開発】カルバモイル化したテトラヒドロイソキノリンを基質に用い、様々な置換様式のアルコキシベンゼンをカップリングパートナーとして、酸素雰囲気下、触媒分子の存在下の条件で反応を行いました。反応溶媒を含め、揮発性成分を減圧留去して、目的生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離精製しました。
【DNA付加体の合成】既報の合成ルート(Chem. Res. Toxicol., 2005, 18, 1306)を基軸として、ピレンと無水コハク酸を出発原料としました。既報の手法でうまくいかない場合には、反応条件を調整するなど改変して10段階の工程を経て合成しました。
3.結果と考察(Results and Discussion)
酸化的カップリング反応は、ベンジルオキシカルボニル基を導入したテトラヒドロイソキノリン類を基質とした場合、10mol%の触媒存在下、最高収率92%で生成物が得られました。低収率の基質も含めて、基質群の酸化電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果、類似骨格を有しながらも酸化電位や酸化電流に大きな差異があることも明らかにしました。
DNA付加体の合成においては、化合物2の生成を確認し、標準化合物のLC-MSにおけるフラグメンテーションの情報を収集することを達成できました。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 黒野暢仁:複素環化合物の電気化学的カップリング反応の検討. 電気化学会第85回大会(2019年3月27日 京都)
6.関連特許(Patent)
なし







