課題番号 ：S-18-MS-1011
利用形態 ：機器センター施設利用
利用課題名（日本語） ：重元素のレーザーによる新規分離法
Program Title (English) ：Development in a laser method for separating heavy elements
利用者名（日本語） ：中島　信昭1), 横山啓一2)
Username (English) ：N. Nakashima1), K. Yokoyama2)
所属名（日本語） ：1) 大阪市立大学大学院理研究科, 2) 日本原子力研究開発機構
Affiliation (English) ：1) Graduate School of Science, Osaka City University, 2) Materials Science Research Center, Japan Atomic Energy Agency

１．概要（Summary ）
重元素のリサイクルは21世紀の課題の一つである．一部の金属イオンはレーザーにより酸化還元反応を起こすことができる．これにより沈殿分離が可能である．レーザー励起では，遠隔照射だから作業者は安全を確保でき，多光子励起によるイオンの高い選択性などが期待されている．反応の進行を可視紫外分光光度系などで調べる．

２．実験（Experimental）
使用した機器：1) 波長可変ピコ秒レーザーシステム（Spectra-Physics・Millennia-Tsunami + Quantronix・Titan-Topas）2) 紫外・可視・近赤外分光光度計（Shimadzu UV-3600Plus）レーザー1)で試料を励起，反応の追跡を2)，の分光光度計で行なった．

３．結果と考察（Results and Discussion）

図１．ピコ秒レーザー(2 ps, 40 J/pulse, 1kHz，中心波長396 nm)を 20　min 照射したところ，400 nm以下で吸収が増大した．差スペクトル(赤)をEu2+ のスペクトルと帰属できる．　

ナノ秒パルス励起で昨年までに以下の効率を求めた．

Eu3+→ Eu2+　　 308 nm（1光子反応）収量　0.6
mol /J　の単位で3
Eu2+ →Eu3+　　　 308 nm（1光子反応）収量　0.3
mol /J　の単位で1
Eu3+→ Eu2+　　 394 nm　（2光子反応）
mol /J　の単位で0.01

今回のピコ秒パルス励起では mol /J の単位で0.01であった．ナノ秒パルス励起の場合と同程度であった．ピコ秒パルスの波長はEu3+の吸収スペクトルとずれがあり，それらの重なりは20％ 程度であった．
反応が起きること自体を確認することができた．ピコ秒パルスの波長は基本波の2倍波であったが，これをEu3+の吸収スペクトル394 nmに合わせることができれば，反応効率は大きく改善できると期待できる．

４．その他・特記事項（Others）　なし

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1) N. Nakashima, Department of Applied Chemistry　Spring 2018 Colloquium at National Chiao Tung University,　2018.5.
(2) 松田 晶平・中島 信昭・横山 啓一・八ツ橋 知幸・Haik Chosrowjan・谷口 誠治・染川智弘, 2018光化学討論会，平成30年9月．
(3) 中島　信昭，さきがけ「光の利用と物質材料・生命機能」領域発展研究会，平成30年11月．
(4) 増原宏・中島信昭，化学，2018, 73, 21-24．

６．関連特許（Patent）　なし