利用報告書

量子ビームを用いた有機材料の化学反応解析 
大島明博 (大阪大学大学院工学研究科 ダイキン協働研究所)

課題番号 :S-20-OS-0017 
利用形態 :技術相談
利用課題名(日本語) :量子ビームを用いた有機材料の化学反応解析 
Program Title (English) :Chemical reaction analysis of organic materials using quantum beams
利用者名(日本語) :大島明博
Username (English) :A. Oshima
所属名(日本語) :大阪大学大学院工学研究科 ダイキン協働研究所
Affiliation (English) :Graduate School of Engineering、DAIKIN Research Alliance Laboratories

1.概要(Summary )
産業界において量子ビーム照射による各種高分子の改質や機能性付与、キュアリング等が幅広く行われており、本研究では、量子ビーム誘起化学反応を利用して、新規材料の創製や新機能性付与などの材料開発の際、量産化プロセス構築のために、酸素濃度の物性への影響や反応機構への影響の検討を行うため、照射後得られた材料の化学構造分析や物性評価を行う予定である。

2.実験(Experimental)
試料をガラスアンプルに入れ、酸素濃度を制御した標準ガスで充填し、大阪大学産業科学研究所附属量子ビーム科学研究施設において、室温でのガンマ線照射実験を行った。照射後、得られたサンプルを大気開放し、ガラスアンプルから取り出した。得られた照射試料の化学構造について阪大NOF分子・物質合成PFの以下の分析装置を用いて分析を行う予定である。
S06 フーリエ変換赤外分光光度計
S19 レーザーラマン顕微鏡

3.結果と考察(Results and Discussion)
2-(Perfluorohexyl) ethyl acrylate (C6SFA)モノマーを試料に用いた。γ照射時の酸素濃度による影響は、照射時の酸素濃度による影響は、酸素濃度が10 ppmにおいて、2 kGy程度から重合し、ゲル化が始まり8 kGyでほぼ終了したが、酸素濃度の上昇により、重合反応は阻害され、10000 ppmの濃度では、4 kGy程度から重合が始まっており、20kGy程度でほぼ終了した。酸素濃度により重合性が影響されることがわかった。
得られた試料について、今後、吸収線量に対する重合反応の重合度への酸素の影響について、モノマーの二重結合に着目して、阪大NOF分子・物質合成PFのフーリエ変換赤外分光光度計、および レーザーラマン顕微鏡を用いて解析を行う予定である。
今年度は、COVID-19による影響により、実験進捗が思わしくなく、また、阪大NOF分子・物質合成PFの測定機器での測定のため、サンプルの薄膜化などの調整に手間取ったため、測定するまでには実験が進行しなかったが、FT-IRやラマンシグナルのライブラリの入手などを行った。次年度、準備した試料を用いて、評価する予定である。

4.その他・特記事項(Others)
阪大NOF分子・物質合成PFの測定のため、各種測定機器の装置使用方法に関してご説明頂きました大阪大学分子・物質合成PFの北島博士、山崎様、和辻様、下満様に感謝致します。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
「なし。」

6.関連特許(Patent)
「なし。」

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