利用報告書
課題番号 :S-17-CT-0073
利用形態 :技術補助
利用課題名(日本語) :金属ナノ粒子を用いて合成したCNT・グラフェンの品質評価
Program Title (English) :Evaluation of CNT / graphene synthesized using metal nanoparticle catalysts
利用者名(日本語) :中村基訓
Username (English) :M.Nakamura
所属名(日本語) :旭川工業高等専門学校
Affiliation (English) :National Institute of technology, Asahikawa college
1.概要(Summary)
カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンに代表されるナノカーボンはその特徴的な形状に起因して他の材料に見られない特筆すべき特性を持つことから,様々な分野への応用が期待される材料である.我々はこれまでCNTを光活性層として用いSiと組み合わせたヘテロ接合太陽電池など,エレクトロニクス分野におけるデバイス応用に向け,CNT・グラフェン生成に関する研究を進めてきた.特に,金属ナノ粒子を触媒とし,エタノールを炭素源に用いた低圧CVD法を採用し,垂直配向CNTや数層ナノグラフェンの形成を目指してきた.CNTやグラフェンの品質評価にはラマン分光法を用いることがよく知られており,本校も日本分光製のラマン分光器を保有しているが,低波数側の感度が低いことから,CNT特有のRBMによるピークが検出できない問題があった.
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
ラマンイメージング(レニショー製inVia、千歳科技大NP登録装置)
【実験方法】
旭川高専にて2種類の金属ナノ粒子をSiO2/Si基板上に固定化し,CVD条件やナノ粒子固定化前の基板処理方法を変えたことによる垂直配向CNTの密度やグラフェンの品質の依存性について検討した.なお,グラフェンの生成には金属ナノ粒子触媒上にAl2O3極薄膜でコーティングした複合ナノ粒子触媒を用いている.CVD条件としては,主として成長時におけるAr/H2ガスの導入量を主なパラメータとし,成長時間:10min,成長温度:900℃に設定し合成した.生成したCNT・グラフェンを千歳科技大に持ち込み,ラマン分光器を用いて評価した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
CVD成長時のAr/H2の導入量を50~300[sccm]で変化させた結果,300[sccm]の条件において高密度な垂直配向CNTが成長することがわかった.これは一定以上のH2を導入することで,成長中の金属ナノ粒子の触媒活性が維持され,長尺CNTの生成が可能になったと考えられる.ただし,その後の実験結果から,Ar/H2の導入量以外にも,金属ナノ粒子を固定化する際の環境条件(気温,湿度)もCNT成長状態の一つの要因であることがわかってきている.垂直配向CNTの品質についてラマン分光器で評価すると,G/D比が20以上という高品質なSWNTが形成されていることがわかり,RBMピークのデータから数種類の直径を有するCNTが基板全面に成長していることが確認できた.グラフェンについては十分なサンプル量が得られておらず,継続して作成・評価をしていく.
4.その他・特記事項(Others)
河野敬一先生(千歳科技大ナノテク支援室),伊藤哲平様に感謝いたします.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 高木翼,中村基訓ほか,第7回高専-TUT太陽電池合同シンポジウム,平成29年12月25日
(2) 鎌田悠司,中村基訓ほか,平成29年度先進的技術に関するシンポジウム,平成29年12月26日
6.関連特許(Patent)
なし