利用報告書
課題番号 :S-16-NI-13
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :金属/半導体複合ナノ粒子の合成と評価
Program Title (English) :Fabrication of metal/semiconductor complex nanoparticles
利用者名(日本語) :葛谷 俊博(1),桑田貴彦(2),濱中 泰(2)
Username (English) :T. Kuzuya(1), T. Kuwada(2), Y. Hamanaka(2)
所属名(日本語) :室蘭工業大学(1),名古屋工業大学(2)
Affiliation (English) :Muroran Institute of Technology(1),Nagoya Institute of Technology(2)
1.概要(Summary )
貴金属ナノ粒子の局在表面プラズモン(localized surface plasmon resonance、LSPRと略称)を光励起すると強い近接場光が発生する。これを活用して半導体ナノ粒子の吸収・発光・非線形光学特性などの光機能を向上させることができると期待されている。このような特性を示すナノ構造として,液相法により貴金属ナノ粒子と半導体ナノ粒子が合体した複合構造をもつナノ粒子を合成した。種粒子中のカチオン交換により複合ナノ粒子を得ることに成功した。
2.実験(Experimental)
カチオン交換法により金属(Ag)と半導体(CuInS2)から成る複合ナノ粒子を合成した。Cu-Ag-Sナノ粒子を合成し、これを種粒子としてAgイオンとInイオンの間のカチオン交換をおこない、Ag/CuInS2複合ナノ粒子に転化した。反応途中のナノ粒子の構造を透過電子顕微鏡とXRDにより調べ、複合ナノ粒子の形成メカニズムを調査した。紫外可視近赤外分光光度計により吸収スペクトルを測定、複合ナノ粒子を構成するAgナノ粒子の局在プラズモン共鳴特性を観測した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Cu-Ag-Sナノ粒子は、カチオン交換開始5分後に、Ag、CuAgS、CuInS2の三相からなるナノ粒子に変化した。30分後には、Cu-Ag-Sは消滅し、AgとCuInS2の2相で構成される複合ナノ粒子となった。このような変化より、Agが還元析出して生成したAg空孔がナノ粒子中を拡散し、そこにInイオンが侵入することによって最終的にAg/CuInS2複合ナノ粒子が形成されたと考えられる。
図1にCu-Ag-S種粒子の吸収スペクトルと、カチオン交換を開始してから5分と30分経過後の吸収スペクトルを示す。カチオン交換が進行するとともに2 eV付近にブロードなピークが成長してくる。これはAgナノ構造のLSPRによる吸収バンドであり、ナノ粒子中にAg相が生成する様子を示している。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)T. Kuzuya, T. Kuwada, Y. Hamanaka, and S. Hirai, Mater. Trans. 58 (2017). pp. 65-70.
(2)桑田貴彦、濱中 泰、葛谷俊博,第77回応用物理学会秋季学術講演会,平成28年9月15日
(3) 桑田貴彦、濱中 泰、葛谷俊博,第1回名古屋工業大学材料科学フロンティア研究院(FRIMS)シンポジウム,平成28年12月8日
6.関連特許(Patent)
なし







