利用報告書

金属間化合物Fe2VAl中の転位の観察
浅香 透, 谷山 友理
名古屋工業大学大学院工学研究科

課題番号                :S-19-NI-0014

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :金属間化合物Fe2VAl中の転位の観察

Program Title (English) : Observation of dislocations in intermetallic compounds

利用者名(日本語)      :浅香 透, 谷山 友理

Username (English)     :T.Asaka, Y.Taniyama

所属名(日本語)        :名古屋工業大学大学院工学研究科

Affiliation (English)  :Engineering, Nagoya Institute of Technology

 

 

1.概要(Summary )

環境調和型熱電変換材料として実用化が期待されるFe2VAl系合金はV/Al非化学量論組成とすることで熱電性能が向上する。しかしその力学特性は明らかになっていないため、本研究では圧縮試験や内部摩擦試験を用いて力学特性の評価を行い、転位に着目した力学特性の変化のメカニズム解明を目的とした。その結果、V/Al非化学量論組成とすることで圧縮試験では強度の低下、内部摩擦試験では強度の向上が見られた。これはFe2VAl系合金のもつ規則格子転位の部分転位幅の変化によるものである。巨視的塑性と微視的塑性の支配的要因が本研究から明らかになった。

2.実験(Experimental)

Fe2V1+xAl1-x(x = 0, ±0.05)に転位を導入するために、1 mm厚さの試料を4~5%熱間圧延した。平行研磨にて70~100 μm程度の厚さにし、直径3 mmの補強リングに乗る大きさに砕く。その後、日本電子社製Gatanディンプルグラインダー656型にてディンプリングを行い、20~30 μm程度の厚さを残してくぼみを作る。日本電子社製Gatan精密イオンポリッシング装置MODEL695PIPⅡにてイオンミリングを行い、日本電子社製JEM-ARM200Fにて加速電圧200 kVでTEM観察を行った。Fe2VAl系合金のすべり転位であると考えられるb = [111]をもつ転位を観察したいため、gb = 0となるg

 

 =とgb ≠0となるg = [202]を用いて、同視野で転位の観察を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)

各組成のTEM像を図1に示した。x = 0では転位は2本に分解しているように見える。これはB2型NNAPBのAPBエネルギーが高く凝集力が強いため、非常に狭い幅で存在することから、両端2本の部分転位が1本に見えているものだと考えられる。また、規則格子転位の分解幅は50 nm程度である。x = 0.05では部分転位が4本に分解している様子が観察された。また、この幅は100~300 nmであり、x = 0 と比べ広がっている。x = -0.05の試料は脆く加工の段階で割れやすいため圧延が難しく転位を多く導入することができなかった。また、イオンミリングで適切な厚さに試料を加工できた部分が少なかったため、観察範囲が狭くなってしまった。そのため、規則格子転位の分解幅の評価を正確に行うのは難しかった。試料の再作製が必要である。

非化学量論組成とすることで規則格子転位の幅は広がるため、歪の部分が集中せず広がっていることで転位は長距離運動しやすくなり、圧縮試験では強度の低下が見られた。内部摩擦測定では部分転位の振動運動を検知していると考えられ、固溶硬化により部分転位の短距離運動が阻害されるため強度は上昇した。以上の結果から、巨視的塑性は規則度、微視的塑性は固溶硬化が支配的であることが分かった。

 

 

 

 

 

 

図1 g = [220]を用いたTEM像

(左からx = 0, 0.05, -0.05)

4.その他・特記事項(Others)

なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

谷山 友理, 井手 直樹, 第29回学生による材料フォーラム, 令和元年10月7日

6.関連特許(Patent)

なし。

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