利用報告書

鉄錯体の57Feメスバウアー分光測定
五十嵐樹1), 小澤智宏1) 壬生攻1)
1) 名古屋工業大学大学院工学研究科

課題番号                :S-20-NI-0027

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :鉄錯体の57Feメスバウアー分光測定

Program Title (English) :57Fe Mössbauer spectroscopy of iron complex

利用者名(日本語)      :五十嵐樹1), 小澤智宏1) 壬生攻1)

Username (English)     :Igarashi Itsuki1), Ozawa Tmohiro1), Mibu Ko1)

所属名(日本語)        :1) 名古屋工業大学大学院工学研究科

Affiliation (English)  :1) Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology

 

 

1.概要(Summary )

当研究室(名工大・増田研)では、鉄錯体や銅錯体で酸素錯体を形成させ、生体系金属酵素モデルとして種々の錯体を合成し、その酸素との反応挙動を研究している。そのような研究の中で、アセトン中で、二核鉄(II)錯体に酸素を反応させると酸素が過酸(パーオキサイド)になり、アセトンがそのパーオキサイドと結合し、二核鉄(II)に橋掛けの形で結合した錯体が合成されると考察した。そのため名工大・増田研にて作製したFe含有錯体の57Feメスバウアー分光測定を室温にて実施し、試料の価数状態を調べる。

 

2.実験(Experimental)

装置名:メスバウアー分光装置

(1)Ar雰囲気下で試料溶液1mLをしみ込ませた21mmφのろ紙15枚を純アルミ箔(40mm×40mm)で包み(2)袋に入れシーラーで封を閉じ(3)サンプルが入った袋を-80℃に冷やした恒温槽に入れ(4)封を切り、酸素を吹き込み、再びシーラーで封を閉じます。(5)酸素錯体形成後、再度封を切り、純アルミ箔で包んだサンプルを取り出し(6)液体窒素下でサンプルを固定し(7)測定室へ運び(8)あらかじめ冷やしたクライオスタットにセットし、(9)真空引きして液体窒素温度まで下げて1日かけて測定。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

緑色と紫色の吸収ピークは壊れたものと同じ吸収ピークとなったので壊れたものだと推定した。灰色と黄色は酸素を吹き込む前の吸収ピークと類似していた。しかし、灰色と黄色の吸収から、さらに細分化できるいくつかの吸収ピークが存在する可能性があることが線幅から示唆された。その細分化できる吸収ピークもFe(II) S=2であることから、二核鉄酸素錯体はFe(II) S=2錯体と考えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

4.その他・特記事項(Others)

本研究を進めるにあたり、名工大・壬生様から多大なご指導ご鞭撻を賜りました。貴重なデータ収集にご協力いただいたことに改めて感謝いたします。

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

(1)Igarashi Itsuki, 日本化学会 第101春季年会 (2021), 令和3年4月19日

 

6.関連特許(Patent)

なし。

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