利用報告書
課題番号 :S-20-NU-0003
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :青色フィルムからの顔料流出の調査
Program Title (English) :Investigation of pigment outflow from blue film
利用者名(日本語) :荒永 知幸
Username (English) :Tomoyuki Aranaga
所属名(日本語) :株式会社ティー・エヌ・シー
Affiliation (English) :TNC.Co., Ltd.
1.概要(Summary )
OEM生産している製品で、わずかな着色の着色があり、クレームと なった。 原因としては、樹脂の青い離型フィルムが混入し、その青色顔料(銅フタロシアニン)が溶けだした 可能性があり、分析を依頼した。
2.実験(Experimental)
試料:
1:Samle A 青色着色製品(約500g)共重合ポリエステル(40%)、酢酸エチル (12%)、トルエン(48%)
2:Sample B 通常品BLANK(約500g)成分比率はSample Aと同じ
3:青色離型フィルム 主成分HDPE、青色顔料は銅フタロシアニン以外の可能性もある
4:銅フタロシアニン(製品名ファストゲンブルー 8E8K) 数g
機器:
フーリエ変換型赤外分光装置(JASCO、FT-IR-680 Plus)
吸収分光光度計(shimadzu社製 UV-1800)
蛍光X線分析装置(リガク製 NEX CG/EDXL 300)
3.結果と考察(Results and Discussion)
試料の予備確認としてFT-IR測定を行った(図1)。特別な差異は確認されていない。
Sample A、Bを少量サンプル瓶に移して色調を比較したが、肉眼では差が明確でないため、吸収スペ クトルを比較した(図2)。可視光領域(青色)での試料間の差異はスペクトルからは明確にならなかっ た。
図3には銅フタロシアニンを硫酸亜鉛マトリックスに分散させた試料の蛍光X線スペクトルを示す。Cu のスペクトル位置がZnのショルダーとなるため、検出限界の確認として相応しい実験にはならなかった。
今回の測定から定量的な議論をすることは難しいが、図3の結果を参考にすると、おおまかにはSample A、Bに含まれるCuは銅フタロシアニン由来と仮定した場合、100ppm前後ではないかと推察される。
4.その他・特記事項(Others)
<謝辞>今回の分析について、色々な角度から分析してただきました名古屋大学分子・物質プラットフォームの坂口特任教授・伊藤始氏に感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし