利用報告書
課題番号 :S-16-NU-0050
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :非平面オリゴフェニレンの合成と構造解析
Program Title (English) :Synthesis and Characterization of Non-planar Oligophenylene Derivatives
利用者名(日本語) :高木幸治1)
Username (English) :Koji Takagi1)
所属名(日本語) :1) 名古屋工業大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1) Nagoya Institute of Technology
1.概要(Summary )
これまでに申請者は、アミド骨格を架橋部位に有する梯子状π共役高分子の簡便な合成法を開発し、高分子鎖全体にわたって高い平面性を保持していることを実験、理論両面から明らかにしている[参考文献1]。今回、6員環アミド骨格であった部分を7員環ウレア骨格へと変更することで立体歪みを導入し、芳香環が結合軸周りにねじれた非平面ビフェニル誘導体を合成し、その構造解析を行った。
2.実験(Experimental)
Scheme 1に示すルートで、太線で示す直接アリール化を鍵反応として、ウレア架橋されたビフェニル誘導体(ULBP)を合成した。Daicel製CHIRALPAC ICにて分離条件を検討した上で、山善Smart Flash-AI-508S(CHIRALFLASH ICを接続)にて光学分割を行った。得られたエナンチオマーについて、JASCO製ECD J-702YSを用いて電子円二色性スペクトルを測定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
希薄n-Octane溶液で、ECDスペクトル測定したところ、極大吸収波長である290nm付近に非常に小さなCDシグナルが観測されるのみであった。光学分割してからサンプルを保管している間にラセミ化が進行してしまったと考えられる。実際、持ち帰ったサンプルをCHIRALPAC ICにて光学純度の測定を行った結果、ほぼラセミ化していることが分かった。今後、光学分割したエナンチオマーのラセミ化速度をChiral HPLCで追跡、評価する必要がある。また、過去の文献から、ビフェニルよりもターフェニル誘導体の方が、ラセミ化しづらいことが報告されている[参考文献2]ので、同様な方法によって化合物を合成し、ECDスペクトル測定を行なう。さらに、ウレア窒素上にメチル基を有する類縁体を合成し、単結晶エックス線構造解析によって、芳香環同士の二面角を実測する。
4.その他・特記事項(Others)
参考文献
1, Koji Takagi, Ryota Kato, Shun-ya Yamamoto, and Hyuma Masu, Polym. Chem. 2015, 6, 6792–6795.
2, Bernd Kiupel, Christoph Niederalt, Martin Nieger, Stefan Grimme, and Fritz Vögtle, Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 3031–3034.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし