利用報告書

食品中のコクのメカニズム解明のためのコロイド分析
山田ゆり
1) ネスレ日本株式会社

課題番号                :S-19-NU-0025

利用形態                :機器利用

利用課題名(日本語)    :食品中のコクのメカニズム解明のためのコロイド分析

Program Title (English) :Colloid analysis for elucidation of mechanism of ‘body/richness’ in food

利用者名(日本語)      :山田ゆり

Username (English)     :Y.YAMADA

所属名(日本語)        :1) ネスレ日本株式会社

Affiliation (English)  :1)Nestle JAPAN Ltd.

 

 

 

1.概要(Summary )

2015年の調査では消費者の約半数が「好きな味」について「旨味・コク」と回答している。*1「コク」に対するイメージはプレミアムともいえ、各社様々な定義で「コク」のある製品を上梓している。

本課題では、食品の5味(甘味、塩味、苦味、酸味、旨味)のように明確な「味」を持たない油脂がどのように食品の「コク」の発現に寄与するのかを解明したい。

口の中の数多くの味蕾が刺激され、その刺激活動が持続することがコクの必須条件であると考えられている*2。様々な条件で均質乳化した油脂の粒径を測定することで味蕾の「溝」への「滞留しやすさ」を評価するために、液中に分散している油脂コロイドの粒径を測定した。

 

 

 

2.実験(Experimental)

4種類の粉末油脂を温水で溶解したものを、粒径測定装置 ゼータ電位・粒径測定システム(大塚電子(株)製 ELSZ-2)を用いて、コロイド粒径を測定した。測定は1cmの角セルを用い、粒径測定に適した濃度に試料溶液を調整し、試料調整温度の影響確認、測定時の経時的な凝集などもないことを確認した後、25℃で実施した。

 

 

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

製法や使用乳化剤が異なる4種類の粉末油脂を測定した。それぞれの粒径と分散度が判明した。3検体では有意な差はなかったが、1検体のみ大きな粒径が得られた。本データとヒトによる官能評価の結果をかけ合わせて、本系において、コクを引き起こす最適なコロイド粒径を探っていきたい。

 

 

4.その他・特記事項(Others)

本課題の実施にあたり、名古屋大学工学研究科特任教授坂口様、伊藤様に粒径測定方法、および結果の解釈に関してご指導いただきました。厚く御礼申し上げます。

 

*1)味香り戦略研究所(2015)

近年注目の’コク‘に関する実態調査

プレスリリース

*2)山本隆(2010)おいしさとコクの科学

日本調理科学会誌 Vol.43, No 6. 327-332(2010)

 

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし。

 

 

6.関連特許(Patent)

なし。

 

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