利用報告書
課題番号 :S-15-KU-0035
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :高分子に含有する成分の劣化解析
Program Title (English) :Degradation analysis of the components contained in polymers
利用者名(日本語) :武居 尚英
Username (English) :Naohide Takesue
所属名(日本語) :三菱化学(株) 黒崎事業所 開発研究所 分析技術
Affiliation (English) :Mitsubishi Chemical Corporetion, Kurosaki Plant, R&D Center, Analytical Technology Section
1.概要(Summary )
高分子化合物に機能を付加する事を目的として、添加剤が加えられている。これらの添加剤は、その使用状況により劣化を受ける。この劣化状況を確認する事は、高分子材料を設計する上で重要な事項となる。高分子に含有する添加剤の劣化状態や、高分子成分への機能付加の為に添加するオリゴマー成分の組成ついて把握する為、Q-TofMSを用いた高分解能測定やMS/MS測定を行った。高分解能測定では、構成する元素組成情報を得ることが出来、これに別途測定した有機分析結果(FT-IRやNMR)測定を加え、構造解析を行う事が可能となる。また、MS/MS測定では、イオンにエネルギーを与えることにより分子を開裂させ、連鎖骨格や部分骨格情報を得ることが期待される。
2.実験(Experimental)
超高速 HPLC 分離・分子構造分析システムの一部である、Bruker製micrOTOF-QⅢおよびそれに付随する島津製HPLCを用いた分析を行った。
試料は、劣化試験後の高分子から取り出した添加剤やオリゴマー成分を用いた。また、添加剤元々の構造が未知である場合は、それらの構造解析の一部として高分解能LC/MS測定を行った。
分析においては、分離条件や移動相条件に合わせ、目的成分のイオン化を確認し、確立した条件にて精密質量分析やMS/MS測定を実施した。イオン化においては、移動相に加える酸などが影響を与える為、目的成分に合わせた検討が必要であった。
3.結果と考察(Results and Discussion)
含有する添加剤の劣化成分の構造を明らかにするため、高分解能測定による元素組成解析を行った。この結果および別途取得したNMR等の測定結果より、未知の成分について構造を明らかにすることが出来た。本結果は、今後新たに開発する添加剤のデザインに役立てる予定である。
尚、高分解能測定において、分子量が600程度までの成分については、LC/MS測定の最初数分の間に標準物質を測定してデータ全体を構成する方法で精度よく計算することが出来た。しかしながら、分子量が1000程度の成分については、上記方法では質量変動が大きい為、計算値のバラつきが大きくなった。これを抑える為、常時標準物質を流しながらLC/MS測定を行った。本手法によりある程度までの精度を得ることが出来た。装置誤差である±3%の誤差ギリギリの精度での分析については、まだ課題が残る。
また、分子量1000程度のオリゴマー成分について、MS/MS測定を行い、それらの連鎖構造を明らかに出来る可能性を見出した。2元系高分子の連鎖解析は、一般的にNMRにより行われるが、この場合は、平均した情報のみが得られる。LCによる分離とMS/MS機能を併用することにより、連鎖の組み合わせごと(たとえばAとBの2元系高分子の場合は、ABAB、AABB、ABBAそれぞれ)の量を把握する事が理論的には可能となる。LC/MS/MS測定においては、観測されている主なイオンを自動的にMS/MS測定するモード用いて測定を行った。この機能は非常に簡便であったが、LCにおいてピーク分離が不十分な場合は、目的ピークの情報が得られない場合があった。ソフトウエアの仕様確認を含め、メーカーとの一体となった対応が必要と感じている。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







