利用報告書
課題番号 :S-19-KU-0056
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :高分子コートした正極黒鉛を用いたデュアル炭素電池に関する研究
Program Title (English) :Research on dual carbon batteries using polymer-coated positive graphite electrode
利用者名(日本語) :中村滉太郎1), 渡邊源規1)2), 石原達己1)2)
Username (English) :K. Nakamura1), M. Watanabe1)2), T. Ishihara1)2)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院工学研究院, 2) 九州大学カーボンニュートラルエネルギー国際研究所
Affiliation (English) :1) Department of Applied Chemistry, Faculty of Engineering, Kyushu
University 2) International Institute for Carbon Neutral Energy Research,
Kyushu University
1.概要(Summary )
デュアル炭素電池に用いられている電解質は、有機溶媒/リチウム塩系が用いられているが、その電解質内でどのような溶媒和クラスター構造を形成されているか明らかにすることは、電池の性能・イオン電導機構を知るために重要である。TOF-MASS(ACPI)装置を用い、ダイレクトマス法により電解質を直接測定することで、クラスター構造の推定を狙い、測定と解析を行った。
2.実験(Experimental)
利用装置:マイクロTOF QIII
実験方法: マイクロTOF QIIIのTOF-MASS(ACPI)を用いて以下の電解液の溶媒和構造の推定を行った。測定はpositive modeとnegative modeで行った。なお、溶媒和構造を厳密に議論するために、同じDMC質量あたりに1molのリチウム塩を加えるmol/kgの単位を用いた。1 mol/kg LiPF6(DMC)、1 mol/kg LiPF6:LiTFSI=1:1(DMC)、1 mol/kg LiTFSI(DMC)
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に各電解液をTOF-MASS(ACPI,positive)で測定した結果を示す。LiPF6では顕著なMSピークが生じなかった。LiTFSIではLim+1TFSImパターンが観測され、最大でTFSI4分子に対しLi5分子がクラスターを形成していることが推察された。LiPF6:LiTFSI=1:1混合電解液では、Lim+1TFSImパターンが最大でTFSI6分子に対しLi7分子まで観測された。表1に各クラスターの最強ピークを相対強度比で解析した結果を示す。顕著に、LiPF6:LiTFSI=1:1混合電解液ではクラスター構造が多量体まで安定に存在できていることを示している。この結果はLiPF6:LiTFSI混合電解液系とすることで、安定な溶媒和クラスター構造を形成していることが確認できた。今後は濃度や測定条件の最適化を行う。
図1:電解液のACPI-MSスペクトル(positive)
表1:Lim+1TFSIm (m)クラスターの相対強度比
Lim+1TFSIm (m) 電解液 相対強度 (%)
1 LiTFSI
LiPF6:LiTFSI 40.9
36.7
2 LiTFSI
LiPF6:LiTFSI 100.0
100.0
3 LiTFSI
LiPF6:LiTFSI 22.4
99.7
4 LiTFSI
LiPF6:LiTFSI 5.7
91.1
5 LiPF6:LiTFSI 22.4
6 LiPF6:LiTFSI 1.3
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。