利用報告書
課題番号 :S-17-OS-0054
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :高圧技術向上のためのダイヤモンドアンビルの表面加工
Program Title (English) :Improvement for high pressure generation technology by surface processing of diamond anvil
利用者名(日本語) :中本有紀, 武田良介, 清水克哉
Username (English) :Y. Nakamoto, R. Takeda, K. Shimizu
所属名(日本語) :大阪大学 基礎工学研究科附属極限科学センター
Affiliation (English) :Center for Science and Technology under Extreme Conditions, Osaka University
キーワード/Keyword :AFM、反応性イオンエッチング装置、表面処理
1.概要(Summary)
ダイヤモンドは、最も高い硬度と圧縮強度を有し、紫外から遠赤外の広い領域の光やX線に対して透明であるため超高圧発生装置であるダイヤモンドアンビル・セル(DAC)は、固体物性や固体地球科学など幅広い分野で使用されている。また高圧力下において様々な物質は、結晶構造や物性の変化を示し、金属化や超伝導化といった劇的な変化をしめすことが知られている。近年、地球中心核の圧力に匹敵する350 GPaの高圧力まで安定して発生することが可能となった。しかしながら既に理論予測されているような新しい現象を実現するには、圧力発生技術の向上が必要である。我々はDACを用いて発生圧力のさらなる拡大を目指している。そこでアンビルであるダイヤモンドの圧力発生部分に表面処理を施し、マイクロクラックや加工の際に生じた研磨傷を取り除くことを試みる。イオンエッチング装置またはイオンミリング装置により表面研磨を行ない、それぞれ処理の前後で表面状態をAFMで観察し、比較を行う。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
S03 原子間力顕微鏡(AFM)
S13 反応性イオンエッチング装置
S16 SIMS付カウフマン型イオンミリング装置
【実験方法】
圧力発生に用いるダイヤモンドアンビルを図1に示した。加圧面は50μmφと非常に小さい。まずマイクロクラックや加工の際に生じた可能性のある研磨傷を走査型プローブ顕微鏡で観察した後、イオンエッチングとイオンミリング装置での処理を行ない、その都度AFMを用いて表面を観察した。
Figure1. Shape of diamond anvil
3.結果と考察(Results and Discussion)
表面処理を行なう前のアンビル表面の5μm角についてAFM観察を行なったところ最大高低差は26nmであることがわかった。イオンエッチング処理後は10nm、続いてイオンミリングによる研磨後は図2示すように3nmとなり、それぞれに表面の改善がみられた。今後は最適条件を見出す必要がある。
Figure2. AFM Profile
4.その他・特記事項(Others)
特別推進研究(超高圧下の新物質科学:メガバールケミストリーの開拓)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。