利用報告書

高性能有機半導体およびデバイスの開発
森達哉1,2), 小路口由佳1,2), 安田琢麿1,2)
1) 九州大学大学院工学府, 2) 九州大学稲盛フロンティア研究センター

課題番号 :S-18-KU-0021
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :高性能有機半導体およびデバイスの開発
Program Title (English) :Development of High-Performance Organic Semiconductors and Devices
利用者名(日本語) :森達哉1,2), 小路口由佳1,2), 安田琢麿1,2)
Username (English) :T. Mori1,2), Y. Kojiguchi1,2), T. Yasuda1,2)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院工学府, 2) 九州大学稲盛フロンティア研究センター
Affiliation (English) :1) Graduate School of Engineering, Kyushu University,
 2) INAMORI Frontier Research Center (IFRC), Kyushu University

1.概要(Summary )
従来の有機半導体の分子設計とは異なる、ユニークな分子形状を有する有機半導体分子を用いて、ディップコート法による高秩序・高配向性超薄膜の作製と、それを用いた高速有機薄膜トランジスタ(OFET)の開発を行った。薄膜中における分子集積構造の評価、およびOFETデバイスの活性層として電荷輸送特性を評価し、優れた半導体特性を明らかにした。

2.実験(Experimental)
アーチ状に拡張したπ共役骨格を有し2つのアルキル鎖が同一方向を指向するよう位置選択的に導入したU字型有機半導体分子(U-BBTT-8)を設計・合成した(図1左)。目的化合物の同定にMALDI-TOF質量分析装置 AutoflexIIIを利用した。原子間力顕微鏡(AFM)および面内・面外X線回折(XRD)測定により、ディップコート薄膜中の分子集積構造を調べた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
U-BBTT-8を用いてディップコート膜を作製したところ、常温大気下においてcmスケールの広範囲に渡って超薄膜が得られた。AFM表面観察において、3.3 nmの明確なステップ構造が引揚方向と直交する方向に確認された。これは分子長軸距離の約2倍に相当することから、分子は基板に対して垂直方向に、精緻なhead-to-head型のラメラ構造を自発的に形成していることが示唆された。引揚方向に対して平行および垂直方向からX線を入射してXRD測定行った。Out-of-plane測定より、d値3.27 nmの回折が高次に渡り観測された(図1右)。これらの結果から、U-BBTT-8は薄膜作製時の引揚によるせん断応力場を顕著に反映して高秩序・高配向の分子集積構造を巨視的スケールに渡って形成可能であることがわかった。

U-BBTT-8の半導体特性を評価するために、超薄膜を活性層とするOFET素子を作製し、電荷輸送特性を評価した。その結果、ホール移動度3.8 cm2V-1s-1という非常に高い値を示した。更に、薄膜面内における電荷輸送の異方性を評価したところ、引揚に対して平行方向のホール移動度は垂直方向と比較して40倍以上高く顕著な異方的伝導性を示すことが明らかとなった。

4.その他・特記事項(Others)
 なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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