利用報告書

クリセン骨格を活用した新規多重ヘリセンの合成とその光学特性
井改知幸1)
1) 名古屋大学大学院工学研究科

課題番号                :S-20-NI-0038

利用形態                :機器利用

利用課題名(日本語)    :クリセン骨格を活用した新規多重ヘリセンの合成とその光学特性

Program Title (English) :Synthesis of Novel Multiple Helicenes Using a Chrysene Framework and Their Optical Properties

利用者名(日本語)      :井改知幸1)

Username (English)     :T. Ikai1)

所属名(日本語)        :1) 名古屋大学大学院工学研究科

Affiliation (English)  :1) Graduate School of Engineering,Nagoya University

 

 

1.概要(Summary )

円偏光発光 (CPL) 材料は、三次元ディスプレイ用の高輝度発光フィルムや大容量光通信、セキュリティーインク等への応用が期待される次世代の光学材料であり、これまでに光学活性なπ共役分子や高分子、ランタノイド錯体を含む様々な材料の開発が行われている。一方、複数の芳香環がらせん状に縮環した構造を有するヘリセン類はその非平面p共役骨格に由来する特徴的な光学的・電気的特性を示すため、その合成、機能化に関する研究が世界中で進められており、光学活性ヘリセンのCPL材料への応用を目指した研究も活発に行われている。さらに、ヘリセン骨格を分子内に複数含む多重ヘリセン分子の精密合成も数多く報告されており、そのユニークな構造を活かした新機能の発現に注目が集まっている。

本研究では、芳香環形成を伴う分子内環化反応を活用し、クリセン誘導体からの種々の多重ヘリセン (24) の効率的な合成法の検討、及び構造解析を行った。

2.実験(Experimental)

リガク社製単結晶X線構造解析装置(Mercury)を用い、得られた2の単結晶X線構造解析を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)

クリセン誘導体1のFriedel-Crafts型分子内環化反応は定量的に進行し、クアドラプル[4]ヘリセン (2)、トリプルヘリセン (3) およびダブル[5]ヘリセン (4) を23: 45 : 32のモル比で得ることができた。単結晶構造解析は、最も適当であると思われるサンプルを用いて5回程度実施したが、残念ながら結晶の状態が思わしくなく解析には至らなかった。

4.その他・特記事項(Others)

なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし。

6.関連特許(Patent)

なし。

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