利用報告書

Characterization of Catalytic Active Center of Molybdenum Sulfide Supported by Graphene Oxide
橋本秀樹1)、 磯邉 清1) 
1)関西学院大学理工学部

課題番号 :S-20-JI-0006
利用形態         :技術代行
Program Title (English) :Characterization of Catalytic Active Center of Molybdenum Sulfide Supported by Graphene Oxide
利用者名(日本語) :橋本秀樹1)、 磯邉 清1)
Username (English) :H. Hashimoto1)、 K. Isobe1)
所属名(日本語) :1)関西学院大学理工学部
Affiliation (English) :1) School of Science and Technology, Kwansei Gakuin University

1. 概要(Summary )
私達が新規に合成したモリブデン硫化物担持グラフェンオキサイド複合体MoSx/RGO(x ≈ 3.5, RGO:還元型グラフェンオキサイド)は、水分解水素発生反応の優れた触媒である。触媒活性中心のMoSxのMoやS原子の電子状態に関するデータを貴プラットホームのXPS技術代行にて収集した。データ解析の結果、活性中心に存在するMoは酸化数がIV、そしてSはジスルフィド(S2)の形態で存在する比率が高いものほど高活性であることを明らかにした。また触媒反応の前後で、MoSxのMoやS原子の電子状態変化もXPS測定にて追跡した。

2.実験(Experimental)
〇 測定に用いた装置はXPS AXIS-ULTRA DLDで以下の条件で測定を行なった。
〇X線源と出力:Al, Al–K𝛼(h𝜐 = 1486.6 eV)
〇核種の測定範囲:C1s(277-297 eV), O1s(523-543eV), Mo3d,S2s(219-244 eV), S2p(155-175 eV)
〇測定時の試料固定方法:インジウム箔に圧着;
得られたスペクトルデータに対してデコンボリューションを施し、Mo原子の酸化状態とS原子の結合状態の解析を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
図1にモリブデン硫化物担持グラフェンオキサイド複合体 MoSx/RGOのX線光電子スペクトルを示している(図中のBefore参照)。Mo 3d5/2領域にMo(IV: 229.4 eV)とMo(VI: 232.3 eV) の二つのシグナルが現れる。Mo(IV)のシグナル強度が強い試料ほど水分解水素発生反応に対する触媒活性が高いことが判明した。そしてMo(VI)には触媒能がないことも分かった。希硫酸中での電気化学反応前後でMo(VI)のシグナル強度が大きく変化している。これは複合体中の触媒不活性なMo(VI)化学種が水溶液中に溶け出したためである。一方、S 2sの結合エネルギーは227−228 eVの範囲に現れる。このシグナルのデコンボリューションを行い、S22-とS2-によるシグナルからなることを見出した。Mo(IV)とS22-のシグナル強度に相関があり、Mo(IV)とS22-基の割合が高い複合体ほど優れた触媒能を示す。

4.その他・特記事項(Others)
XPS測定に当たり、北陸先端科学技術大学院大学ナノマテリアルテクノロジーセンターの村上達也氏には、測定条件等の相談にのっていただき、大変感謝しています。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Yoshihiko Sera, Shota Seto, Kiyoshi Isobe, Hideki Hashimoto:
Development of highly active hydrogen evolution reaction (HER) catalysts composed of reduced graphene oxide and amorphous molybdenum sulfides derived from (NH4)2MoOmS4-m (m  =  0, 1, and 2):
Journal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry, Volume 401, 1 October 2020, 112793

6.関連特許(Patent)
「なし.」

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