利用報告書
課題番号 :S-17-TU-0013
利用形態 :装置利用
利用課題名(日本語) :CIP法で合成した水酸アパタイト蛍光錯体の蛍光特性評価
Program Title (English) :Fluorescent property of HAp complex fabricated by CIP method
利用者名(日本語) :大塚雄市
Username (English) :Yuichi Otsuka
所属名(日本語) :長岡技術科学大学大学院
Affiliation (English) :Nagaoka university of technology
検索キーワード :蛍光錯体,水酸アパタイト,アミノ酸
1.概要(Summary )
CIP法で作成した水酸アパタイト蛍光錯体の蛍光特性に加圧条件の影響があるかを調査する.水酸アパタイト蛍光錯体は医療用のイメージング材料などに活用が検討されているが,最適な作成条件が不明である.蛍光特性において錯体配位子に与えた圧力の影響があるかを調査することで,最適な作成条件を見出すことが可能となる.
2.実験(Experimental)
利用した装置
Quantaurus-QY 絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス製)
初めに東北大学 下谷秀和先生より装置の使用指導を受けた.その後,持参した粉末サンプルおよび皮膜サンプルについて,蛍光特性および量子収率とアミノ酸配位子および加圧条件との対応を検討した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
3種のアミノ酸配位子を水酸アパタイト皮膜上にてCIP芳を用いて形成した水酸アパタイト蛍光錯体の量子収率は,励起波長350-400nmに対しておおよそ3-5%程度であった.これは,溶媒中にて測定した蛍光錯体の量子収率に比べれば大幅に低いものの固体状態にて測定したEu添加蛍光錯体などの測定値とほとんど同等であり,蛍光錯体としては機能していることを示した.蛍光錯体の量子収率が低いのは,固体皮膜であり濃度が高いため,散乱などによる消光損失が生じたためと考えられる.
また,蛍光錯体の量子収率におよぼす加圧条件の影響を検討した結果,高圧で合成した場合の蛍光錯体の量子収率は若干ではあるが高くなる結果を得た.そして,アミノ酸配位子の違いと量子収率との対応関係については,チロシンを用いた場合のみ他の配位子の場合と比較して低い値となったが,その他の影響は無かった.チロシンの場合に低かったのは,そもそも配位子が有する静電反発力のために皮膜上の蛍光錯体の濃度が低かったことも影響していると考えられる.以上のように,CIP法で作成した水酸アパタイト蛍光錯体の蛍光特性に対し,加圧条件の影響があることを明らかにできた.
4.その他・特記事項(Others)
東北大学 下谷秀和先生より装置の使用指導を受けたこと記し,深謝致します.
た5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)サリタモラクル,大塚雄市 他6名,水酸アパタイト/アミノ酸蛍光錯体の蛍光特性におよぼす加圧条件の影響,日本材料科学会平成30年度学術講演大会(2018年5月31日発表予定)
6.関連特許(Patent)
特になし