利用報告書

DNA-ジアリールエテン複合体の光照射によるラジカル発生プロセスの研究
中川優磨1), 内田欣吾1)
1) 龍谷大学大学院理工学研究科

課題番号 :S-19-NR-0011
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :DNA-ジアリールエテン複合体の光照射によるラジカル発生プロセスの研究
Program Title (English) :Research on radical formation process by light irradiation of DNA- diarylethene complex
利用者名(日本語) :中川優磨1), 内田欣吾1)
Username (English) :Y. Nakagawa1), K. Uchida1)
所属名(日本語) :1) 龍谷大学大学院理工学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Science and Technology、Ryukoku University

1.概要(Summary )
当研究室では、ジアリールエテンを用いた光誘起細胞毒性の研究を行っている。アリール基としてthiazole環を2つもつジアリールエテン閉環体1c (Scheme 1)の光誘起細胞毒性メカニズムはカスパーゼカスケードを経由したアポトーシスであることが確認出来ている(K. Uchida et al., Chem. Commun. 2015, 51, 10957-10960.)。アポトーシスの経路は多岐にわたるが、その多くはDNAの損傷によって引き起こされる。また、1cは開環異性体である1oに比べ、分子の平面性が高いため、DNA塩基対間にインターカレートしやすい事がこれまでの研究から明らかになっている。現在、DNA塩基対間に1cがインターカレートした状態で光照射を受けることでDNAの損傷が起こり、その結果、光誘起細胞毒性が発現していると考えている。そこで、本研究では、光照射によるDNA損傷プロセスを明らかにするために、1cの光照射によるラジカル生成の有無、及びDNA-ジアリールエテン複合体における光照射によるラジカル生成の有無を検討し、DNA損傷との関係を検討することを目的とする。

Scheme 1. ジアリールエテン1のフォトクロミック反応。

2.実験(Experimental)
電子スピン共鳴装置(ESR: JEOL,JES-FA100)を用いてESRスペクトルを測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 D-PBS/DMSO = 95: 5(v/v)溶液にDNAと1cを添加したサンプルの光照射前と436 nm光の光照射中のESRスペクトルを測定した。結果として、光照射前、及び光照射中の両方でラジカルは検出されなかった。この事から、1cのDNA損傷プロセスがラジカル由来出ないことが分かった。この結果は、光照射をしながらESRを測定する設備を利用したことによって得ることが出来た結果であり、ナノテクノロジープラットフォームには非常に感謝する次第である。

4.その他・特記事項(Others)
ESR測定を行っていただきました、奈良先端科学技術大学院大学の淺野間文夫 氏に感謝いたします。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)中川優磨・須丸公雄・森下加奈・金森敏幸・兵藤 憲吾・横島 智・中村振一郎・内田欣吾, フォトクロミックジアリールエテンの光誘起細胞毒性: チアゾール環と細胞毒性の相関(1PC-108) 日本化学会 第100春季年会 2020年3月22日(日)
(2)中川優磨・須丸公雄・森下加奈・金森敏幸・兵藤憲吾・横島 智・中村振一郎・内田欣吾,フォトクロミックジアリールエテンの光誘起細胞毒性: チアゾール環と細胞毒性の相関(2F2-41) 日本化学会 第100春季年会 2020年3月23日(月)

6.関連特許(Patent)
なし。

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